「要するに」は便利なまとめ役、だけど……
会話が長引いた時や、複雑な説明をバシッと一言でまとめたい時、「要するに……」という言葉はとても重宝します。
この「要」という字は、「扇の要(かなめ)」と同じで、物事の最も大切なところを指します。バラバラに広がった話をキュッと束ねる役割を持っているのです。

別の言い方をすると、「つまり」と同じような役割を果たし、「すなわち(即ち)」の意味と使い方とも近い、コミュニケーションの「整理術」とも言える表現ですね。
「要するに」が誰かの「配慮」を傷つける時
しかし、私自身はこの「要するに」という言葉に、あまり良い印象を持っていません。
相手に言いにくいことを伝える時、私たちは「どう言えば傷つけないか」「どう言えばこちらの事情を分かってもらえるか」と、回りくどいようでも丁寧に言葉を積み重ねることがあります。
そんな時、相手から
「要するに、こういうことだよな!」
と結論を急かされると、こちらの誠実な配慮がすべて無駄にされたような、寂しい気持ちになるのです。
「要するに」は、結論を急ぐあまり、相手が大切にしていた「行間」や「過程」を切り捨ててしまう、少し傲慢な言葉になりかねません。
「要するに」を「いい言葉」に変える前後の言い方
それでも、話をまとめなければならない場面はあります。
そんな時、この言葉のトゲを抜き、前後の言葉で「反動」を和らげるには、どうすればいいのでしょうか。
例えば、こんな風に添えてみるのはいかがでしょう。
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「色々とお話しいただいたところを、私の理解で恐縮ですが、要するに……」 (相手の言葉を尊重した上で、確認のために使う)
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「あなたの事情はよく分かりました。要するに、こういうことですよね。大変でしたね」 (結論の後に、相手への共感の言葉を添える)
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「要するに、〇〇さんが仰りたいのは、こういう大切なポイントですよね?」 (相手を突き放すのではなく、一緒に核心を見つける姿勢を見せる)
「なんだかんだ」の意味と使い方にあるように、色々あった紆余曲折(なんだかんだ)を大切にした上で、最後に優しく手を差し伸べるような「要するに」でありたいものです。
まとめ:言葉の「かなめ」を優しく握る
還暦を過ぎ、ようやく「要するに」で片付けられない、あちこちへ寄り道する会話の楽しさも分かってきました。
効率ばかりを求めると、人生の「ゆとり」や「余裕」は消えてしまいます。
話をまとめる時は、相手が言葉の端々に込めた思いを汲み取る余裕を持ちたいものです。
もし、より柔らかい印象で話を締めくくりたいのなら、こんな「言葉の履き替え」も検討してみてはいかがでしょうか。
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