「とりあえずブラッシュアップしといて」って…結局どうすればいいの?
「この資料、ちょっとブラッシュアップしてもらえる?」
「志望動機はいい線いってるから、少しブラッシュアップして提出してね」
こうしたやりとりは、ビジネスや就職活動の場面などで頻繁に耳にする表現です。
なんとなく「直せばいいのかな?」とは感じるものの、
-
どの程度までやり直すの?
-
ゼロから作り直すってこと?
-
ブラッシュアップって“アップ”っていうくらいだから、なにかが上がるってこと?
……と、言葉の印象は強いけれど、実は意味がふわっとしていて曖昧に感じたことはないでしょうか。
この記事では、そんなカタカナ語「ブラッシュアップ」の正しい意味と使い方を、
英語の由来も含めてわかりやすく解説します。
「ブラッシュアップ」の意味とは?
「ブラッシュアップ(brush up)」は、
もともと英語で「ブラシをかける」=「軽く磨く」という意味の表現です。
そこから転じて、「知識や技術に磨きをかける」「仕上げをする」という意味で使われるようになりました。
日本語における意味は?
日本語として定着した「ブラッシュアップ」は、
単に“磨く”というよりも、「すでにあるものをより良い形に整える」「完成度を高める」というニュアンスで使われます。
具体的には、以下のような行動を含みます:
-
誤字脱字や不備の修正
-
レイアウトや構成の改善
-
伝わりにくい表現の見直し
-
必要な情報の追加や精査
つまり、「一からやり直す」わけではなく、今あるものに手を加えて質を上げる作業ということです。
「アップ」って何が上がるの?
“アップ(up)”という言葉がつくことで、「何かが上がるのか?」と疑問を持つ人もいるかもしれません。
実際に「ブラッシュアップ」の“アップ”が示すのは、
-
完成度の向上
-
洗練度のアップ
-
分かりやすさ・説得力・印象の良さの改善
-
全体的なクオリティの底上げ
など、目に見える「数値」よりも、全体的な“質感”の向上を意味します。
たとえば:
-
プレゼン資料のブラッシュアップ → レイアウトが整理され、伝わりやすくなる
-
話し方のブラッシュアップ → 言葉遣いや間の取り方が自然で印象がよくなる
-
自己PRのブラッシュアップ → 内容に説得力が増し、自信が伝わるようになる
つまり、「内容そのものは変えずに、良さを引き出すための手入れ」というのがブラッシュアップの本質です。
「修正」「やり直し」との違いに注意
「ブラッシュアップ」は、内容を良くするという点では「修正」や「やり直し」と似ている部分がありますが、意味合いは少し違います。
「修正」=間違いや不備を正す行為
→ 内容の一部が誤っている・ズレているときに、それを修正する作業。
例:数字のミスを直す、誤解を招く表現を改める
「やり直し」=全体を最初から作り直す行為
→ 方向性そのものが間違っていたり、やり方を一新する必要がある場合。
例:企画の構成自体をゼロベースで練り直す
「ブラッシュアップ」=すでにあるものを洗練・改善する行為
→ 内容自体は活かしながら、見せ方や質感を高める。
例:レイアウトを整える、語順を工夫する、より的確な表現に変える
ポイント:
-
「修正」や「やり直し」が“問題点の対応”であるのに対し、
-
「ブラッシュアップ」は“良いものをさらに良くする”ための磨き作業です。
よくある誤用と、適切な使い方の例
✕ よくある誤用:
-
「この企画、ダメだからブラッシュアップして」
→ 実際は“再構築”や“作り直し”を求めている状態。「ブラッシュアップ」では不適切。 -
「最初からブラッシュアップしよう」
→ そもそも何もできていない状態では“磨きようがない”。
◯ 適切な使い方:
-
「資料の内容は良いから、表現だけ少しブラッシュアップして」
-
「この文章、もう少しわかりやすくブラッシュアップできそうだね」
-
「初回の提出としては十分。あとはブラッシュアップして完成度を高めよう」
→ “もとがある”という前提が重要なポイントです。
日本語で言い換えるなら?
「ブラッシュアップ」は便利な言葉ですが、伝わりにくいと感じる場合は、
日本語に置き換えることで、より明確に意図を伝えることもできます。
状況に応じた言い換え例:
-
軽く調整したい → 「手直しする」「整える」
-
質を上げたい → 「洗練させる」「完成度を高める」
-
わかりやすくしたい → 「言い換える」「構成を見直す」
-
印象をよくしたい → 「印象を整える」「見栄えをよくする」
カタカナ語の多用が相手に混乱を与える場面では、こうした日本語表現を使うことで正確で誤解のない指示が可能になります。
まとめ
「ブラッシュアップ」は、“ただ直す”のではなく、
「すでにあるものに手を加えて、より洗練されたものに仕上げる」という意味を持つ言葉です。
-
完成度を高める
-
印象を良くする
-
内容をより伝わりやすくする
といった、“質の向上”を目指すための調整や磨き作業が本質です。
✔「作り直し」ではない
✔「修正」とも少し違う
✔「さらに良くする」前向きな改善表現
ビジネスやクリエイティブの現場で多用されるこの言葉。
曖昧なまま使わず、しっかり意味を理解することで、
よりスムーズなコミュニケーションと確かな成果につながります。