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「敷居が高い」とは?本来の意味と使い方、「ハードルが高い」との違いを解説

敷居が高いとは?本来の意味・使い方・ハードルが高いとの違い 【二、知恵の棚】

「あの高級レストラン、ちょっと敷居が高いよね」

こんなふうに、「敷居が高い」=高級で入りにくい、格式があって近寄りにくいという意味で使われることがあります。

今ではごく自然に耳にする表現ですが、実は「敷居が高い」には、もともと別の意味があります。

本来は、不義理や失礼なことをしてしまい、相手の家などへ行きにくいという気持ちを表す言葉です。

私が「敷居が高い」と聞いて思い出すのは、自動車の営業をしていた頃のことです。

車のトラブルがあり、お客様の家へ謝罪に行かなければならなくなったことがありました。

まだ経験の浅かった私は、訪問する前から気が重くて仕方ありません。

「怒られるだろうな」

「何と言われるだろう」

そんなことばかり考えていました。

今思えば、あのときのお客様の家の敷居は、私には鴨居ぐらいの高さに見えていたような気がします。

もちろん、本当に敷居が高かったわけではありません。

こちらに落ち度があり、顔を出しにくい。

まさに本来の意味での「敷居が高い」状態だったわけです。

この記事では、「敷居が高い」の本来の意味や使い方を整理しながら、「高級で入りにくい」という現在よく見られる使い方との違い、「ハードルが高い」との使い分けについてもわかりやすく解説します。

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「敷居が高い」とは?本来の意味を簡単に

「敷居が高い」とは、本来、不義理や面目のないことなどがあって、その人の家や場所へ行きにくいという意味の言葉です。

たとえば、

  • 借りたものを長い間返していない
  • 相手に失礼なことをしてしまった
  • 長い間連絡をせず、不義理をしている
  • 謝らなければならないことがある

といった事情があり、相手と顔を合わせにくいときに使います。

ポイント 内容
本来の意味 不義理や後ろめたさがあり、その場所へ行きにくい
気持ち 申し訳ない、気まずい、面目が立たない
原因 基本的には自分側にある

つまり、本来の「敷居が高い」は、単に「入りづらい」というだけではありません。

「自分に何か後ろめたい事情があるため、そこへ行きにくい」

というところがポイントです。

そもそも「敷居」とは何?

「敷居」とは、和室などの出入り口の下にある横木のことです。

障子やふすまを動かすための溝が付いている部分を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。

その上側にある横木が「鴨居(かもい)」です。

つまり、

  • 敷居……出入り口の下側
  • 鴨居……出入り口の上側

という位置関係になります。

「敷居が高い」といっても、実際の敷居が物理的に高くなるわけではありません。

相手の家へ入りにくい気持ちを、「敷居が高くてまたぎにくい」ように表した比喩です。

お客様の家の敷居が、鴨居ぐらいに思えた

私は自動車の整備や営業の仕事をしていましたが、営業を始めたばかりの頃は、お客様とのトラブルへの対応にも慣れていませんでした。

あるとき、販売した車にトラブルが起き、お客様の家へ謝罪に行かなければならなくなりました。

今なら、まず状況を整理し、こちらに非があるところはきちんと謝り、対応を説明するしかないと考えられます。

でも、当時の私は経験が浅い。

訪問する前から、頭の中では悪い想像ばかりが膨らみます。

「かなり怒っているんじゃないか」

「玄関先で何を言われるだろう」

「行きたくないな……」

それでも、行かないわけにはいきません。

そんな気持ちでお客様の家へ向かったので、玄関の敷居が、私には鴨居ぐらいの高さに思えてなりませんでした。

まさに、敷居をまたぐのが重い。

これが「敷居が高い」という言葉なのか、と今なら妙に納得できます。

行ってみれば「案ずるより産むが易し」だった

ところが実際に訪問してみると、そのお客様は思っていたよりずっと穏やかな方でした。

もちろん、車のトラブルですから、こちらはきちんと説明し、謝罪しなければなりません。

でも、訪問する前に私が頭の中で想像していたほど恐ろしいことにはなりませんでした。

「案ずるより産むが易し」とは、こういうことなのかもしれません。

その後、仕事の経験を重ねるにつれて、謝罪や難しい説明のためにお客様を訪問することにも、少しずつ対応できるようになっていきました。

私の中の敷居も、少しずつ低くなっていったような気がします。

もっとも、トラブル対応に慣れっこになってはいけませんけどね。

では「高級レストランは敷居が高い」は間違いなの?

ここまで本来の意味を読むと、

「じゃあ、高級レストランに『敷居が高い』と言うのは間違いなの?」

と思うかもしれません。

本来の意味からいえば、高級だから、格式があるから、値段が高いから入りにくいというだけでは、「敷居が高い」とは少し意味が違います。

そこには、不義理や後ろめたさがないからです。

ただし現在では、「自分には高級すぎる」「格式があって入りにくい」「難度が高くて近寄りにくい」といった意味でも、「敷居が高い」は広く使われるようになっています。

そのため、現在の会話でこの使い方を耳にしたからといって、すぐに「それは完全な間違いだ」と切り捨てるのも少し乱暴でしょう。

大切なのは、

本来はどんな意味だったのか。

今はどんな意味でも使われているのか。

この二つを分けて知っておくことだと思います。

なぜ「高級で入りにくい」という意味でも使われるようになった?

「敷居が高い」が、なぜ「高級で入りにくい」「格式があって気後れする」という意味でも使われるようになったのでしょうか。

一つには、「敷居」と「高い」という言葉から受けるイメージが関係しているのでしょう。

「敷居」と「高い」という組み合わせから、「入りにくい」「近寄りにくい」というイメージを連想しやすいことも、現在の使われ方を理解する一つの手がかりになりそうです。

さらに、「ハードルが高い」「壁が高い」など、「高い」を難しさや近寄りにくさに結びつける表現もあります。

現在では「高級で入りにくい」という意味で「敷居が高い」を使う人も多く、日常会話ではこちらの意味で受け取られることも珍しくありません。

言葉は、長く使われるうちに意味が広がったり変化したりすることがあります。

ですから、「昔からの意味では違う」「でも現在はそういう意味でも広く使われている」と整理しておくのがわかりやすいでしょう。

高級レストランは「敷居が高い」のではなく……

そう考えると、

「あの高級レストランは敷居が高くて、なかなか入れない」

という言い方も、今では意味は十分通じます。

ただ、昔ながらの意味を知ってしまうと、私は少し気になります。

高級レストランに何か不義理をしたわけでもありません。

お店の人に謝らなければならないこともありません。

単純に、

お値段が高い。

そして、おそらくサービスの質も高い。

私などは、「敷居が高いというより、高いのはそっちじゃないの?」と思ってしまいます(笑)。

もちろん、現在では「高級で気軽に入りづらい」という意味でも広く使われていますから、会話の中で目くじらを立てるほどのことではないでしょう。

ただ、本来の意味を知っていると、こんな言葉遊びもできるわけです。

「敷居が高い」と「ハードルが高い」の違い

「入りにくい」「難しそう」という意味で使う場合、「敷居が高い」と混同しやすいのが「ハードルが高い」です。

この二つは、もともとの意味が違います。

表現 基本的な意味・ニュアンス
敷居が高い 本来は、不義理や後ろめたさがあって相手の家などへ行きにくい
ハードルが高い 達成や実行が難しい、条件や心理的な負担が大きい

たとえば、私の自動車営業時代の謝罪訪問なら、

「こちらに落ち度があって、お客様の家へ行きにくい」

ので、本来の意味で「敷居が高い」がぴったりです。

一方、

「初心者がいきなり難しい資格に挑戦する」

「予算が少ないのに高価な車を購入する」

など、実現するための難易度や条件が高い場合は、「ハードルが高い」の方が意味を伝えやすくなります。

「ハードルが高い」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:「ハードルが高い」とは?意味・使い方・「敷居が高い」との違いをわかりやすく解説

「敷居が高い」の使い方・短い例文

まずは、本来の意味で使う例文を見てみましょう。

  • 長い間連絡をしていないので、恩師の家は敷居が高い。
  • 借りたものを返しておらず、彼の家は敷居が高い。
  • 迷惑をかけたままなので、あの家は敷居が高い。
  • 失礼なことを言ってしまい、彼女の家は敷居が高くなった。
  • 何年もご無沙汰しているため、先生のところへ行くのは敷居が高い。

共通しているのは、「自分側に、行きにくくなる事情がある」ことです。

単に遠い、値段が高い、難しいという理由ではありません。

「高級で入りにくい」と言いたいときは何と言えばいい?

高級店や格式のある場所について、「敷居が高い」を使わずに表現したい場合は、何が理由で入りにくいのかをそのまま言葉にするとわかりやすくなります。

伝えたいこと 言い換え例
値段が高くて入りにくい 高級で気軽には入りにくい
格式に緊張する 格式があって気後れする
雰囲気に圧倒される 少し入りづらい雰囲気がある
自分には難しそう 自分にはハードルが高い

「敷居が高い」は便利な言葉ですが、何が理由で入りにくいのかを具体的に表した方が、相手には伝わりやすいこともあります。

経験を積むと「敷居」は低くなる?

自動車の営業を始めたばかりの頃、お客様への謝罪訪問は私にとって大きな出来事でした。

何を言われるかわからない。

どう説明すればいいのかわからない。

できることなら行きたくない。

そんな気持ちでした。

でも、仕事を続けていれば、残念ながらトラブルがまったく起きないわけではありません。

経験を重ねるうちに、まず状況を確認すること、必要なことを説明すること、こちらに非があればきちんと謝ることなど、少しずつ対応の仕方もわかってきます。

そうすると、若い頃には鴨居ぐらいに見えていた敷居も、少しずつ本来の高さに戻ってきたような気がします。

経験というのは、不思議なものです。

ただし、

「またトラブルか。いつものことだ」

となってはいけません。

こちらには何度か経験したトラブルでも、お客様にとっては初めての出来事かもしれません。

敷居が低く感じられるようになっても、謝る気持ちまで軽くしてはいけない。

今振り返ると、そんなことも仕事から教わったように思います。

「敷居が高い」についてよくある質問

Q.「敷居が高い」とは簡単にいうとどういう意味ですか?

A.本来は、不義理や後ろめたいことがあり、相手の家などへ行きにくいという意味です。

「申し訳ない」「顔を合わせづらい」「面目が立たない」といった気持ちが含まれます。

Q.「高級レストランは敷居が高い」は間違いですか?

A.本来の意味とは異なりますが、現在では「高級で入りにくい」「自分には近寄りにくい」という意味でも広く使われています。

そのため、単純に「間違い」と切り捨てるより、本来の意味から広がった使い方と考えるとわかりやすいでしょう。

Q.「敷居が高い」と「ハードルが高い」は同じですか?

A.本来の意味は違います。

「敷居が高い」は不義理や後ろめたさから行きにくいこと。「ハードルが高い」は、何かを実行・達成するのが難しいことを表します。

Q.「敷居が低い」という言い方もありますか?

A.「敷居が低い」を「気軽に入りやすい」という意味で使うことはありますが、本来の「敷居が高い」の単純な反対語とは考えない方がよいでしょう。

「入りやすい」「気軽に利用できる」「親しみやすい」などと表現すると、意味がより明確に伝わります。

まとめ|昔は本当に、敷居が高く見えた

「敷居が高い」とは、本来、不義理や面目のないことなどがあって、相手の家や場所へ行きにくいという意味の言葉です。

現在では、「高級で入りにくい」「格式があって近寄りにくい」といった意味でも広く使われています。

言葉の意味は時代とともに広がることがありますから、現在の使い方をすべて「間違い」とするより、本来の意味と現在広がっている意味の両方を知っておくのがよいでしょう。

私自身、「敷居が高い」と聞くと、自動車営業を始めたばかりの頃、お客様の家へ謝罪に行った日のことを思い出します。

訪問する前は、玄関の敷居が鴨居ぐらいの高さに思えて仕方ありませんでした。

ところが行ってみれば、幸い優しいお客様で、まさに「案ずるより産むが易し」

その後、経験を積むにつれて、私の中の敷居も少しずつ低くなっていったような気がします。

ただ、慣れっこになってはいけませんけどね。

ちなみに高級レストランについては――

敷居より、お値段とサービスの質の方が高い。

私は今でも、そんなふうに思ってしまいます(笑)。

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