意外とよく聞くけど…「アグリーする」って何?
ビジネスの会話やメールで、
「その方向でアグリーです」
「関係各所とアグリーを取っておきます」
といった表現を耳にしたことはありませんか?
一見それっぽく聞こえるこの言い回し、実は日本語としてはやや不自然。
意味はなんとなく通じても、使いどころを間違えると「ちょっと違和感…」と思われることもあるのです。
この記事では、「アグリーする」という言葉の意味や正しい使い方、
そして「同意」や「承認」との違いについて、わかりやすく整理していきます。
「アグリーする」とはどういう意味?
「アグリーする」という言葉は、英語の “agree”(同意する)をそのまま日本語風にアレンジした表現です。意味としては、「賛成する」「同意する」とほぼ同じですが、特徴的なのはその使用シーン。
たとえば、ビジネス会話ではこんなふうに使われます。
「このスケジュールでアグリーできますか?」
「私もアグリーです。その方向で進めましょう」
いずれも「このスケジュールで問題ないか?」「私も同意しますよ」という意味。便利な表現に聞こえますが、実はこの言葉には注意すべき点もあります。
ビジネス用語として定着した背景
「アグリーする」は主に外資系企業やコンサル、IT業界などでよく使われる“カタカナビジネス語”のひとつです。
他にも「アライン(意識を合わせる)」「コミットする(責任を持つ)」「スキーム(枠組み)」など、英語を日本語風に使うスタイルがその業界では浸透しています。
こうした業界では、「意見をすり合わせる」「会議で合意を取る」などの場面が頻繁にあり、シンプルに「アグリーです」と言えるのは効率的ともいえます。
日常会話ではなぜ使われないのか?
一方、日常生活では「アグリーする」という表現はほとんど耳にしません。
理由はシンプルで、「わざわざ英語を使う必要がないから」です。
「賛成」「そうだね」「いいよ」など、自然な日本語がたくさんあるため、「アグリー」という表現はむしろ浮いてしまいます。
また、カタカナ英語は人によっては“ちょっとかっこつけてる”と受け取られることもあり、かえって距離を感じさせることがあります。
「アグリー」と似た日本語:同意・了承・承認の違い
実際のビジネスシーンでは、「アグリー」よりも「同意・了承・承認」といった日本語が頻繁に使われます。意味の違いを表にまとめると以下の通りです。
用語 | 意味 | 主な使用場面 |
---|---|---|
同意 | 内容に賛成する | 意見交換・合意形成など |
了承 | 内容を理解し、受け入れる | 上下関係でのやりとり |
承認 | 正式に認める・許可する | 申請・稟議などの手続き |
「アグリーする」は「同意」に近い意味ですが、フォーマル度はやや低めと考えられます。
「アグリーする」は使ってもいいのか?
○ 使ってもよい場面
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相手もカタカナ語に慣れているビジネスシーン
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カジュアルなミーティングやチーム内のやりとり
× 避けたほうがよい場面
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フォーマルなメールやプレゼン資料
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目上の人・社外の人との初対面のやりとり
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日本語に不慣れな相手との会話
使う場合は、相手や場面をよく見て判断することが大切です。
まとめ:「アグリーする」は場を選ぶビジネス表現
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「アグリーする」は、「同意する」「賛成する」を表す便利な表現
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ただし日本語としての自然さには欠けるため、使用場面は限定的
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「伝わるかどうか」「違和感がないか」を判断基準にしよう
言葉は通じてこそ意味があります。
かっこいい表現よりも、“相手にきちんと伝わる表現”を選ぶのが、良いコミュニケーションの第一歩かもしれません。