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「ノルマ」とは?本来の意味・目標との違いを、昭和の営業体験から振り返る

「ノルマ」って本来の意味は?目標との違いとプレッシャーの正体 カタカナ英語

「ノルマ」と聞くと、胸のあたりが少し重くなる。

そんな人は、案外多いのではないでしょうか。

「今月のノルマは?」
「ノルマ達成まであと何件」
「ノルマ未達」

ただの業務用語のようでいて、「ノルマ」にはどこか人を急かすような響きがあります。

私自身、この言葉を聞くと、自動車ディーラーで営業をしていた頃を思い出します。

もともとは整備士として入社したのですが、その後、車を販売する営業職になりました。

そこで毎月ついて回ったのが、販売台数という数字でした。

一台売れれば嬉しい。

でも、その嬉しさに浸る間もなく、頭に浮かぶのは、

「今月は、あと○台かぁ~」

という残りの数字。

今振り返ると、それが私にとっての「ノルマ」だったように思います。

この記事では、「ノルマ」という言葉の本来の意味や「目標」との違いを整理しながら、昭和の終わり頃に自動車営業をしていた私自身の記憶も交えてお話しします。

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「ノルマ」とは?本来の意味をわかりやすく

「ノルマ」は、一定期間内に果たすよう割り当てられた仕事量や数量などを表す言葉です。

日本では、営業や生産などの仕事で、一人ひとりに割り当てられた数量や達成すべき仕事量という意味で使われることが多くあります。

たとえば、

  • 今月は○台販売する
  • 今週は○件の契約を取る
  • 1日に○個生産する

といったものです。

日常会話では、「今日は10ページ読むのをノルマにしよう」のように、自分で決めた課題や最低限こなしたい量という意味でも使われます。

ただ、仕事の場面で「ノルマ」と言われると、単なる目安よりも「これだけは達成しなければならない」という強いニュアンスを感じる人も多いでしょう。

「ノルマ」はロシア語から来た言葉

「ノルマ」は英語のようにも見えますが、もともとはロシア語の「норма(ノールマ)」に由来する言葉です。

規準・標準といった意味を持つ言葉で、日本では仕事量や生産量などの割り当てを表す言葉として広まりました。

そのため、「カタカナ英語」と思われることもありますが、厳密には英語由来の言葉ではありません。

今ではすっかり日本語の中に定着し、「営業ノルマ」「販売ノルマ」など、ごく普通に使われています。

「ノルマ」と「目標」は何が違う?

「ノルマ」と似た言葉に「目標」があります。

どちらも数字を示すことがありますが、受け取る印象はかなり違います。

言葉 基本的な意味・ニュアンス
ノルマ 割り当てられた仕事量・達成を求められる数量
目標 そこを目指して努力する到達点
目安 判断するときのおおよその基準

たとえば、同じ「10台」という数字でも、

「今月の目標は10台です」

と言われるのと、

「今月のノルマは10台です」

と言われるのとでは、ずいぶん違って聞こえませんか。

「目標」なら「そこを目指して頑張ろう」と感じますが、「ノルマ」になると「10台やらなければならない」という義務のようなものを感じます。

もちろん、実際にどの程度の達成を求められるかは職場によって違います。

それでも「ノルマ」という言葉そのものに、目標より強いプレッシャーを感じる人がいるのは確かでしょう。

一台売れても、「あと何台」が先に浮かんでしまう

私が自動車営業をしていた頃も、毎月販売台数を追いかけていました。

もちろん、車が一台売れたときは嬉しかったです。

お客様に選んでもらい、契約が決まる。

本当なら、

「やった。一台売れた」

と、その嬉しさにもう少し浸っていてもよかったのでしょう。

ところが、当時の私はそうではありませんでした。

一台売れたと思った次の瞬間には、

「今月は、あと○台かぁ~」

と考えてしまうのです。

やっと一台売れたのに、その一台を喜ぶより、まだ売れていない「残りの台数」の方へ気持ちが向いてしまう。

そんな自分が、なんだか悲しかった。

今でも、その感覚を覚えています。

一台売れたという成果が、頭の中ですぐに「あと○台足りない」という数字に変わってしまう。

数字を追いかけているつもりが、いつの間にか数字に追いかけられていたのかもしれません。

毎朝の販売会議と、壁に貼られた成績棒グラフ

ノルマを意識するのは、月末だけではありませんでした。

毎朝、販売会議がありました。

そこで一人ずつ、前日の訪問件数と、見込み客との商談がどこまで進んでいるのかを報告しなければなりません。

でも、営業ですから毎日何かが進展するわけではありません。

報告できるようなことが何もない日だってあります。

そんなときは、恥ずかしい話ですが、「作文」をしたこともありました。

作文といっても、文章を書くわけではありません。

報告することがないので、それらしい話を作ってしまうのです。

外回りに出ても、どうにも気持ちが乗らず、車の中で寝ていたことだってありました。

今だから書ける話です。

そして、販売会議をする部屋には、営業マン一人ひとりの販売成績が棒グラフになって貼り出されていました。

誰が何台売っているのか。

自分はどの位置にいるのか。

見ようとしなくても目に入ります。

毎朝の報告と、壁の棒グラフ。

今こうして書いているだけでも、当時のことを思い出して少しザワザワします。

もちろん、それが当時の営業管理のやり方だったのでしょう。

ただ、数字が伸びていない側にいた私には、毎朝「まだ足りない」と確認させられているような場所でもありました。

「ノルマ」は正月休みにまで入り込んできた

自動車営業をしていた頃、とくにきつかったのが年明けから3月までの時期でした。

年度末に向けた3か月間は販売台数を強く意識する時期で、私にとっては一年の中でも特にプレッシャーを感じる季節でした。

年末年始の休みが終われば、その時期が始まります。

ところが、仕事は休みでも、頭の中までは休みになりません。

お正月、家でテレビを見ていると、自動車メーカーのCMが流れてきます。

「初売りは1月3日から!」

明るく華やかな初売りのCMです。

でも私には、それが仕事開始のカウントダウンのように見えていました。

まだ正月休みは残っている。

それなのにCMを見ると、3月までに売らなければならない台数が頭の中をよぎります。

身体はこたつにいても、心だけはもう会社へ戻っている。

お正月気分どころではありませんでした。

こたつや座布団のある部屋で、一人の男性がテレビを見ている テレビには自動車メーカーの初売りCMを思わせる明るい映像が流れている

転職しても、「ノルマ」は夢に出てきた

やがて私は転職し、毎月販売台数を追いかける生活から離れました。

もう車を売らなくていい。

ノルマを気にしなくてもいい。

ところが、あるとき夢を見ました。

夢の中で、自動車メーカーのCMが流れていました。

それを見た私は、突然はっとして焦ります。

「今月、一台も売れてない!!」

その瞬間、目が覚めました。

そして、少しして気づきます。

「ああ、もう車を売らなくていいんだった」

本当にほっとしました。

仕事を辞めても、頭のどこかにはまだ「今月は何台売った?」という感覚が残っていたのでしょう。

ノルマというのは、会社を出た瞬間にきれいさっぱり消えるものではなかったようです。

なぜ「ノルマ」という言葉は重く感じるのだろう

今振り返ると、私がしんどかったのは数字そのものだけではなかったのだと思います。

  • 毎月新しい数字を追いかける
  • 一台売れても、すぐ残りの台数を考える
  • 毎朝、活動状況を報告する
  • 他の人の成績と自分の成績が見える
  • 自分だけではどうにもならないこともある

こうしたものが重なって、「ノルマ」という一つの言葉に結びついていました。

営業は、努力した分だけ必ず売れる仕事ではありません。

お客様の事情もあります。景気もあります。タイミングもあります。

それでも月が変われば、また新しい数字が始まります。

昨日まで頑張って達成したとしても、翌月になればまたゼロからです。

だから「ノルマ」という言葉を聞くと、私は今でもあの棒グラフや朝の販売会議を思い出すのだと思います。

「ノルマ」ではなく「目標」と呼べば楽になる?

では、「ノルマ」を「目標」と言い換えれば、それだけで仕事は楽になるのでしょうか。

もちろん、そんな単純な話ではありません。

「目標」と呼んでいても、実際には絶対達成を求められるのであれば、受けるプレッシャーは変わらないでしょう。

大切なのは、言葉だけを置き換えることではなく、その数字をどのようなものとして扱っているのかだと思います。

ただ、言葉の選び方が職場の空気に影響することも確かです。

「今月の目標は10台です」

「今月のノルマは10台です」

数字は同じ10台。

それでも、受け取る側の気持ちは同じとは限りません。

言葉はただのラベルではなく、ときにはその場の空気まで作ってしまうものなのかもしれません。

「ノルマ」の使い方・短い例文

  • 今月の営業ノルマを達成した。
  • あと2件でノルマ達成だ。
  • 厳しい販売ノルマが課された。
  • 毎日のノルマを決めて勉強する。
  • 今日は10ページ読むことをノルマにした。

仕事では「割り当てられた仕事量」という意味で使われることが多い一方、「自分に課したノルマ」のように、自分自身で決めた課題について使うこともできます。

「ノルマ」についてよくある質問

Q.ノルマとは簡単にいうと何ですか?

A.一定期間内にこなすよう割り当てられた仕事量や数量などを表す言葉です。

日本では特に、営業の販売件数や生産現場の作業量などについて使われます。

Q.ノルマと目標は同じですか?

A.似ていますが、ニュアンスが異なります。

「目標」は目指す到達点を広く表すのに対し、「ノルマ」は割り当てられ、達成を求められる仕事量という意味合いが強い言葉です。

Q.ノルマは英語ですか?

A.いいえ。もともとはロシア語に由来する言葉です。

カタカナで書かれるため英語のように見えますが、英語由来の言葉ではありません。

Q.自分で決めたことにも「ノルマ」は使えますか?

A.はい、使えます。

「毎日30分歩くことを自分のノルマにする」のように、自分自身に課した課題という意味でも使われます。

まとめ|「ノルマ」という言葉を聞くと、今でもあの棒グラフを思い出す

「ノルマ」とは、一定期間内にこなすよう割り当てられた仕事量などを表す言葉で、もともとはロシア語に由来します。

「目標」と似ていますが、一般に「ノルマ」の方が、割り当てられた数量や達成を求められるものというニュアンスが強くなります。

私にとって「ノルマ」という言葉は、辞書に書かれた意味だけではありません。

一台売れた瞬間に考えてしまった、「あと○台」

毎朝の販売会議。

壁に貼られていた、一人ひとりの成績棒グラフ。

正月休みに見た「初売り」のテレビCM。

そして転職したあとにまで見た、「今月、一台も売れてない!」という夢。

そんな記憶が、全部「ノルマ」という一つの言葉につながっています。

今なら、もう少し一台売れたことを喜んでもよかったのにな、と思います。

「あと何台足りない」ではなく、

「今日は一台売れた。それでいいじゃないか」

あの頃の自分にそう言ってやれたら、少しは気持ちが楽になっていたのかもしれません。

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昭和の仕事や暮らしの中にあった、今では少し懐かしい「空気」については、こちらの記事でも書いています。

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