あの頃、袋の中に「運命」が入っていました
昭和の子どもにとって、
駄菓子屋や小さなお店は、ただお菓子を買う場所ではありませんでした。
そこには、ちょっとした“運試し”のような楽しみがあったのです。
私たちにとって、その代表格が――
「仮面ライダースナック」でした。

お目当ては、スナックではありませんでした
値段はたしか、30円か50円くらい。
子どもの小遣いでも、なんとか買える絶妙な価格でした。
ですが正直に言えば、
私たちはあのスナックそのものには、ほとんど興味がありませんでした。
本当の目的は、ただ一つ。
おまけについてくる「ブロマイド」です。
袋を開ける瞬間の、あの緊張感
お店を出て、すぐに袋を開ける者。
空き地まで我慢して、みんなで一斉に開ける者。
どちらにしても、その瞬間は一緒でした。
指先に伝わる紙の感触。
少しだけ息を止める、あの感覚。
そして――
「おおっ!ライダーだ!」
その一声で、空気が一気に弾けます。
当たりとハズレは、はっきりしていました
仮面ライダーのブロマイドが出れば、文句なしの大当たり。
2号だったらさらに盛り上がる。
レアっぽいポーズなら、なおさら自慢できます。
逆に――
ショッカー戦闘員。
怪人。
出た瞬間の、あの微妙な空気。
「……交換する?」
そんなやり取りが始まるのも、いつもの流れでした。
スナックの味は、正直覚えていません
今になって思い返してみても、
あのスナックの味は、ほとんど覚えていません。
それもそのはずです。
目的は最初からブロマイド。
スナックは、いわば“ついで”の存在でした。
中には、食べきれずに持て余していた子もいたような気がします。
それでも私たちは、懲りずにまた買いに行きました。
空き地と店先が、ひとつの世界でした
空き地では仮面ライダーごっこ。
店先ではブロマイドの開封。
この二つは、完全にひとつの流れでした。
テレビで見たヒーローが、
そのまま現実の遊びに入り込み、
さらにブロマイドという形で「手の中」にやってくる。
あの頃の私たちは、ただ見ているだけではなく、
仮面ライダーの世界の中で生きていたのだと思います。
小さな紙切れに詰まっていたもの
今の時代から見れば、
ただの紙のカードに過ぎないかもしれません。
けれど、あの一枚には
・憧れ
・興奮
・優越感
・悔しさ
そんな感情がぎゅっと詰まっていました。
だからこそ、あれほど夢中になれたのでしょう。
結び|あの「当たり」の高揚感は、今も残っている
あのブロマイドが、今どこにあるのかはわかりません。
知らないうちに処分してしまったのでしょう。
けれど――
袋を開けた瞬間の、あの胸の高鳴りだけは、
今でもはっきり思い出せます。
お菓子の味よりも強く、
形のない記憶として、ずっと残っているのです。
昭和の子どもだった私たちは、
あんな小さな紙切れ一枚で、本気で一喜一憂していました。
そして、そんな時間こそが、
何より贅沢だったのかもしれません。
こうした昭和の思い出は、振り返ってみるとどれも今の自分につながっています。
👉 昭和の失敗は、今の私の宝物。冷や汗と擦り傷から学んだ「人生の教訓」7選
あわせて読みたい:


