何かを比較したり、バランスを考えたりするときによく使われる言葉、
「一長一短(いっちょういったん)」。
ビジネスでも日常会話でも登場する言い回しですが、
「便利だから使ってるけど、よく考えたらちゃんと意味を説明できないかも…」
という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「一長一短」の意味や語源、使い方、
似た表現との違いなどを例文とともにわかりやすく紹介します。
「一長一短」とは?意味を解説
「一長一短」とは、
長所もあるが、短所もあるということ。
つまり、ある物事や人に対して「良い面もあるけど、悪い面もあるよね」という、
中立的・バランスをとった評価をする言葉です。
たとえば:
-
「このプランは安くて便利だけど、サポートが弱い。一長一短だね」
-
「あの人は仕事が速いけど、ミスも多い。一長一短なところがあるよ」
こういった使い方をされます。
語源は?「一長一短」の成り立ち
「一長一短」は、以下のように分解されます。
-
一長(いっちょう):ひとつの優れた点、長所
-
一短(いったん):ひとつの欠点、短所
この2つを並べることで、「どちらもある」「一方的ではない」というニュアンスになります。
古くは中国の故事や漢文にも見られる表現で、
物事を冷静に評価するときによく使われてきた言葉です。
使い方の例文
日常会話
-
「駅から近いのはいいけど、家賃が高いのがネック。一長一短だよね」
-
「スマホの画面が大きいのは便利だけど、ポケットに入りにくい。一長一短だなあ」
ビジネスでの使用例
-
「A社とB社、どちらも一長一短なので、目的に応じて使い分けましょう」
-
「このツールは機能が多くて便利だが、やや重たい。一長一短ですね」
→ 物や選択肢を比較する場面で、冷静なトーンで使うことが多いです。
注意点:「一長一短」は悪口ではない
「一長一短」はけなすための言葉ではありません。
むしろ「片方だけを評価せず、公平に見る」ことが前提にあるため、
バランスのとれた見方を表す言葉です。
たとえば:
-
「この人は短気だけど優しい」=悪い点と良い点を認めている
-
「一長一短だけど、私はこのタイプの方が好き」=短所があっても全体として良いと評価している
このように、短所があるからダメだというより、「全部ひっくるめてその人・その物」というような見方に使うのが自然です。
類語・言い換え表現
表現 | ニュアンス | 備考 |
---|---|---|
長所と短所がある | やや説明的でフォーマル | 一般的な場面で使いやすい |
一得一失(いっとくいっしつ) | あるものを得れば、別のものを失う | やや硬めの言い回し |
メリットとデメリットがある | 外来語ベースのビジネス用語 | 報告書や会議などで多用される |
プラスもあればマイナスもある | カジュアルな表現 | 日常会話に向いている |
まとめ
「一長一短」とは、
ひとつの物事に、良い点も悪い点もあることを示す中立的な評価の言葉です。
-
長所と短所が共存するものを冷静に見たいときに使う
-
悪口や否定ではなく、全体をバランスよく評価するニュアンス
-
ビジネスでも日常会話でも使いやすい便利な表現
一方的に物事を良い・悪いと決めつけがちな今の世の中だからこそ、
「一長一短」という言葉が持つ“バランス感覚”は、とても大切なのかもしれません。