「あろうことか」は、「あってはならないことが、実際に起こってしまった」という強い驚きや、あきれた気持ち、あるいは批判的なニュアンスを込めて使われる強調表現です。
今風の言葉で言えば、
「そんなのアリ?」
「マジかよ……」
といった、予想を裏切られた時の衝撃を表現する言葉といえます。単なる驚きだけでなく、「常識的に考えて、それはまずいだろう」という否定的な感情が含まれることが多いのが特徴です。

「あろうことか」の漢字表記と語源
漢字では「有ろう事か」と書きます。
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有ろう:動詞「ある」の推量形。
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事か:事態を指す「事」に、反語や疑問の「か」が組み合わさったもの。
直訳的なニュアンスとしては「そんな事があるだろうか(いや、あってはならない)」という反語的な響きを持っています。
【語源の背景】 この表現は江戸時代頃から使われるようになったと言われており、もともとは古典的な文法に基づいた格調高い表現です。現在でも、ニュースの報道や小説、ここぞという時のビジネスシーンで、事態の深刻さを伝えるために重宝されています。
具体的な例文とシチュエーション
「あろうことか」は、文頭や文中で「意外な事実」を修飾するように使います。
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批判的な驚き(ビジネス・日常) 「彼はあろうことか、クライアントとの大事な接待の日に寝坊してしまった。」
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非常識へのあきれ(社会・SNS) 「この緊急事態に、あろうことか彼らはパーティーを開いて騒いでいた。」
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ポジティブな意外性(稀なケース) 「初心者の彼が、あろうことかプロの棋士に勝利してしまった!」 ※基本的にはネガティブな文脈が多いですが、このように「常識を覆す快挙」に対して驚きを強調する場合にも使われます。
「あろうことか」の類語と使い分け
似た意味を持つ言葉とのニュアンスの違いを理解すると、より表現が豊かになります。
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まさか:予期せぬ事態への純粋な驚き。「あろうことか」より口語的。
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信じられないことに:自分の感情(不信感)をストレートに伝える表現。
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とんでもないことに:事態の異常性や、被害の大きさを強調する表現。
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思いもよらない:全く予測していなかったという「意外性」に重きを置く表現。
まとめ:言葉の重みを使いこなそう
「あろうことか」は、単なる「びっくりした」を超えて、
「本来なら起こるはずのない異常事態」
を強調できる便利な言葉です。
江戸時代から続くこの表現を正しく使いこなすことで、相手に対して自分の驚きや事態の深刻さをより強く印象付けることができます。
ただし、強い非難のニュアンスが含まれることもあるため、使う相手や場面には少しだけ注意しましょう。
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