「その仕事、ちょっとハードルが高いな」
「この資格は、私にはハードルが高そうだ」
こんなふうに、今では日常会話でもよく使われる「ハードルが高い」という表現。
意味としては、「達成するのが難しい」「取り組むための条件や負担が大きい」といったことを表します。
でも私の場合、「ハードル」と聞くと、言葉の意味より先に、中学生の頃の体育の授業を思い出します。
脚は速い方ではなく、むしろ遅いグループ。
ハードル走では、一つ飛び越えるのがやっとでした。
終盤になると足を引っかけて転び、ひざを擦りむいたこともあります。
だから今でも、私の中では、
「ハードル=難しい」
だけではなく、
「苦手」「痛い」「できれば避けたい」
という記憶まで一緒についてきます。
この記事では、「ハードルが高い」という言葉の意味や使い方を整理しながら、そもそもなぜ“高い”と難しくなるのか、そして人によって感じるハードルの高さが違う理由まで、少し昔の思い出も交えて考えてみます。
「ハードルが高い」とは?意味を簡単に
「ハードルが高い」とは、何かを達成したり実行したりするための難易度や条件が高いことを表す言葉です。
たとえば、
- 難しい資格に挑戦する
- 高価な商品を購入する
- 初対面の人に話しかける
- 新しい仕事を始める
といった場面で使われます。
つまり、比喩としての「ハードル」は、目的を達成するまでに越えなければならない障害や条件のことです。
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| ハードルが高い | 難しい、条件が厳しい、取り組みにくい |
| ハードルが低い | 比較的簡単、条件がゆるい、取り組みやすい |
「無理」「不可能」と断定するほどではないけれど、「簡単にはできそうにない」と感じるときに使いやすい表現です。
そもそも「ハードル」とは何?
「ハードル」は、英語のhurdleから来た言葉です。
陸上競技のハードル走で、選手が走りながら次々に跳び越えていく障害物を指します。

実物のハードルは、高くなればなるほど跳び越えるのが難しくなります。
そこから、目の前にある課題や条件をハードルにたとえて、
「ハードルが高い」=乗り越えるのが難しい
という比喩表現として使われるようになりました。
私にとってハードルは「苦手」で「痛い」ものだった
「ハードルが高い」という言葉を聞くと、私には中学校の体育の授業や記録会の記憶がよみがえります。
私は脚が速い方ではありませんでした。
というより、はっきり言えば遅いグループです。
短距離走だけでも得意ではないのに、その途中に障害物まで置かれる。
今思えば、私にとってハードル走はかなり難易度の高い競技でした。
その頃のハードルが何センチだったのかは、もう覚えていません。
ただ、最初の一個を何とか跳び越えるだけで精いっぱいだったことは覚えています。
序盤は何とか越えても、終盤になると足が上がらなくなってきます。
そして、バーに足を引っかける。
そのまま前へ転ぶ。
ひざを擦りむいて、痛い。
散々でした。

たぶん、その頃から私の中には、
「ハードル=苦手」
「ハードル=失敗すると痛い」
というイメージが残ってしまったのだと思います。
だから大人になってから、仕事でも日常生活でも「これはハードルが高いな」と感じると、単に「難しそう」というだけでなく、どこか身構えてしまうところがあります。
なぜ「ハードルが高い」と難しくなるの?
比喩表現として考えると、仕組みはとても単純です。
実物のハードルは、低ければ比較的越えやすく、高ければ越えるのが難しくなります。
そのイメージを、そのまま仕事や生活の難しさに当てはめています。
たとえば、何か新しいことを始める場合でも、
- お金がたくさん必要
- 高度な知識が必要
- 長い準備期間が必要
- 失敗したときの負担が大きい
といった条件が増えるほど、私たちは「ハードルが高い」と感じやすくなります。
逆に、
- 費用が少ない
- 準備がほとんどいらない
- 失敗してもやり直せる
- まず小さく試せる
という状況なら、「ハードルが低い」と感じます。
つまり、「ハードルの高さ」は、実際の高さを測っているわけではありません。
「自分にとって、どれくらい越えにくそうか」
を表しているわけです。
同じことでも「ハードルの高さ」は人によって違う
比喩として使われる「ハードル」には、陸上競技のように「高さ○センチ」という決まった数字がありません。
同じことに挑戦しても、それを高いハードルだと感じる人もいれば、それほどでもないと感じる人もいます。
たとえば、
- 大勢の人の前で話す
- 一人で知らない店に入る
- 新しい仕事を始める
- パソコンやスマホで新しい機能を使う
- 知らない人に電話をかける
こうしたことを「簡単」と感じる人もいれば、「かなりハードルが高い」と感じる人もいるでしょう。
経験の有無、得意・不得意、その人の置かれた状況などによって、感じ方は変わります。
だから、誰かが「私にはハードルが高い」と言ったときに、
「そんなの簡単だよ」
と決めつけることもできないのだと思います。
その人の目の前には、自分とは違う高さのハードルが見えているのかもしれません。
「ハードルが高い」と「敷居が高い」はどう違う?
「ハードルが高い」と似た場面で使われる言葉に、「敷居が高い」があります。
現在ではどちらも「自分には難しそう」「入りにくい」といった意味で使われることがありますが、もともとの意味は違います。
| 表現 | 意味・ニュアンス |
|---|---|
| ハードルが高い | 達成や実行が難しい、条件や心理的負担が大きい |
| 敷居が高い | 本来は、不義理などがあって相手の家へ行きにくいこと |
たとえば、
「初心者がいきなりフルマラソンに挑戦するのはハードルが高い」
なら、達成する難しさを表しています。
一方、「敷居が高い」は、本来は相手に不義理や面目の立たないことなどがあって、その家へ行きにくいという意味で使われてきた言葉です。
ただし現在では、「高級店で入りにくい」「初心者には近寄りがたい」といった意味でも広く使われています。
そのため、日常会話では意味が近づくこともありますが、「ハードルが高い」は難易度や条件の高さを表しやすいと覚えておくと使い分けやすいでしょう。
「敷居が高い」の本来の意味や、現在広がっている使い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:「敷居が高い」とは?本来の意味と使い方、「ハードルが高い」との違いを解説
「ハードルが高い」の使い方・短い例文
「ハードルが高い」は、仕事、勉強、買い物、人間関係など、さまざまな場面で使えます。
- 未経験からこの資格を取るのはハードルが高い。
- 初心者には少しハードルが高い仕事だ。
- いきなり毎日運動するのはハードルが高い。
- 一人で海外旅行へ行くのは、私にはハードルが高い。
- 予算を考えると、この車を買うのはハードルが高い。
ポイントは、「絶対にできない」という意味ではないことです。
「できるかもしれないけれど、簡単ではない」
そんな難しさや心理的な抵抗を表すときに使いやすい言葉です。
反対の「ハードルが低い」はどんな意味?
「ハードルが高い」の反対に、「ハードルが低い」という表現もあります。
意味は、取り組みやすい、達成しやすい、条件がそれほど厳しくないということです。
たとえば、
- 無料体験なら参加のハードルが低い。
- 一日5分なら運動を始めるハードルが低い。
- スマホだけで申し込めるので、利用のハードルが低い。
このように使います。
何かを始めたいのになかなか動けないときは、目標をあきらめるのではなく、最初のハードルを低くする方法を考えてみるのも一つでしょう。
「ハードルを上げる」「ハードルを下げる」とは?
ハードルは「高い・低い」だけでなく、「上げる・下げる」とも表現します。
「ハードルを上げる」は、達成するための条件や求められる水準を高くすること。
反対に「ハードルを下げる」は、条件や水準をゆるやかにして、取り組みやすくすることです。
- 最初から完璧を求めると、自分でハードルを上げてしまう。
- まずは週1回にして、運動を始めるハードルを下げよう。
- 無料にすることで、参加のハードルを下げた。
また、期待される水準を高くしてしまうことを、
「自分でハードルを上げてしまった」
と表現することもあります。
無理して全部のハードルを飛び越えなくてもいいんじゃないか
中学生の頃の私は、目の前にハードルがあれば、当然それを飛び越えなければなりませんでした。
体育の授業ですから、仕方ありません。
横からスーッと通ったら、先生に怒られたでしょう。
ハードルの下をくぐっても、たぶん記録にはなりません。
でも、今になって思います。
人生で目の前に現れるハードルまで、全部正面から飛び越えなくてもいいんじゃないか。
高すぎるなら、少し時間をかけてもいい。
もっと低いところから始めてもいい。
誰かに助けてもらってもいい。
ときには、横からスーッと通ってしまってもいい。
下をくぐれるなら、それでもいいかもしれません。
陸上競技なら反則でしょうが、人生では必ずしも決められた跳び方をする必要はありません。
そもそも、そのハードルは本当に自分が越えなければならないものなのか。
誰かが置いたハードルを、「越えなければいけない」と自分で思い込んでいるだけなのか。
そんなこともあるような気がします。
気づかないうちに越えてきた「低いハードル」もある
私たちは「ハードルが高い」と感じるものには敏感です。
難しそうなこと、不安なこと、失敗しそうなことは、目の前に大きく見えます。
でも振り返ってみると、これまでの人生で、ハードルだとも思わず越えてきたものもたくさんあったのではないでしょうか。
最初はできなかったことが、いつの間にか普通にできるようになっている。
昔なら緊張したことを、今では何でもなくこなしている。
その一つひとつも、考えてみれば小さなハードルだったのかもしれません。
高いハードルだけを見て、
「自分には無理だ」
と思わなくてもいい。
今は越えられなくても、時間がたてば低く感じることもあります。
逆に、ほかの人には低く見えるハードルが、自分には高く感じることだってあります。
それでいいんじゃないかな、と今は思います。
「ハードルが高い」についてよくある質問
Q.「ハードルが高い」とは簡単にいうとどういう意味ですか?
A.何かを達成したり実行したりするのが難しい、または条件や心理的負担が大きいという意味です。
「絶対にできない」という意味ではなく、「簡単にはできそうにない」というニュアンスで使われます。
Q.「ハードルが高い」の反対は何ですか?
A.一般には「ハードルが低い」と表現します。
取り組みやすい、達成しやすい、条件がそれほど厳しくないという意味です。
Q.「敷居が高い」と「ハードルが高い」は同じですか?
A.同じではありません。
「ハードルが高い」は達成や実行の難しさを表します。「敷居が高い」は本来、不義理などがあって相手の家へ行きにくいという意味です。ただし現在では「高級で入りにくい」などの意味でも広く使われています。
Q.「ハードルを下げる」とはどういう意味ですか?
A.達成条件や求める水準を低くして、取り組みやすくすることです。
「毎日30分運動する」ことが難しければ、「まず5分だけ」にするのも、ハードルを下げる一例です。
まとめ|高いハードルばかり見なくてもいい
「ハードルが高い」とは、何かを達成したり実行したりするのが難しいことを表す言葉です。
もともとは陸上競技で跳び越える「ハードル」から生まれた比喩で、高ければ越えるのが難しく、低ければ越えやすいというイメージがもとになっています。
ただし、人生で感じるハードルには「高さ○センチ」という決まりはありません。
同じことでも、高いと感じる人もいれば、低いと感じる人もいます。
中学生の頃の私にとって、本物のハードルはまさに「苦手」で「痛い」障害物でした。
一つ越えるだけで精いっぱいで、最後には足を引っかけて転んでしまう。
だからなのか、大人になった今でも「ハードルが高い」と感じると、少し身構えてしまう自分がいます。
でも、今ならこうも思います。
無理して高いハードルを、一気に飛び越えなくてもいいんじゃないか。
時間をかけてもいい。
少し低くしてもいい。
横からスーッと通る方法を探したっていい。
そして振り返れば、ハードルだと意識することさえなく、いつの間にか越えてきた小さなハードルも、きっといくつもあったのでしょう。
目の前のハードルが高く見える日は、
「今日は飛ばなくてもいいか」
くらいに考えてもいいのかもしれません。

