「その仕事、ハードル高くない?」
「この資格、ハードルが高すぎるよ…」
こんなふうに日常会話でもよく使われる「ハードルが高い」という表現。
なんとなく「難しそう」「クリアするのが大変そう」というニュアンスで使われますが、そもそも「ハードル」って何?というところから振り返ってみましょう。
もとは陸上競技の「障害物」
「ハードル」は、英語の hurdle が語源で、本来は陸上競技の「ハードル走」に登場する“飛び越える障害物”を意味します。
陸上のハードル競走では、選手が一定間隔で設置されたバーを次々に跳び越えながらゴールを目指します。
この「越えなければいけない障害物」というイメージが、そのまま比喩的に使われるようになったのが「ハードルが高い」です。
「ハードルが高い」= 難易度が高い?
比喩として使う場合の「ハードル」は、「乗り越えなければならない障害」「目標達成に必要な条件や基準」といった意味に変わります。
たとえば…
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試験のハードルが高い:合格が難しい
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この商品、値段のハードルが高い:手が出しにくいほど高価
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結婚のハードルが高い:条件やタイミングなど、実現が難しそう
つまり、「ハードルが高い」とは、「達成するための壁が高くて困難」「その条件を満たすのが難しい」という気持ちを表すときに使われる表現です。
誤解されがちな使い方に注意
便利な表現だけに、曖昧なまま使われることも多く、「何がどう高いのか」がわかりにくくなる場合もあります。
たとえば、
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「この飲食店、なんかハードル高い」
→ お店の雰囲気が高級すぎて入りづらい?
→ メニューが複雑で注文しづらい?
→ マナーに厳しそう?
具体的に何がネックなのかを伝えずに「ハードルが高い」と言うと、相手は「どこが?どうして?」と混乱するかもしれません。
曖昧な表現であるからこそ、「何について」「どの程度」高いのかを補足することが大事です。
「ハードルが高い」を使いこなすポイント
言葉の印象を柔らかくする、相手への配慮としても「ハードルが高い」はよく使われます。たとえば、
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「◯◯さんにはお願いしづらいけど、決して嫌いなわけじゃないんです。ちょっとハードル高く感じて…」
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「新しいことを始めるって、最初の一歩が一番ハードル高いよね」
このように、「できない」「無理」とは言わずに、やんわりと距離感を表したいときにも使えます。
まとめ:言葉の“障害物”も、超える工夫を
「ハードルが高い」という言葉は、もともとは陸上競技の障害物から来たもの。
そこから転じて、「難易度が高い」「手が届きにくい」といった比喩として使われるようになりました。
ただし、何がどう“高い”のかが伝わらないと、相手に誤解を与えることもあるので注意が必要です。
日常の中で「これはハードルが高いな」と感じたときは、なぜそう思うのか、どうすれば超えられそうか、少しだけ立ち止まって考えてみると、意外と“ジャンプできる高さ”だったりするかもしれません。