何かを始めようとして、ふと立ち止まってしまう。
心の中で「どうしよう…」と迷って、なかなか前に進めない──
そんなときに使われる表現が、
「二の足を踏む」です。
よく耳にする言葉ですが、「二の足」ってそもそも何?
なぜ“踏む”と躊躇になるの?と思ったことはありませんか?
この記事では、「二の足を踏む」の意味や語源、
使い方やそこに含まれる心理まで、わかりやすく解説します。
「二の足を踏む」とはどういう意味?
「二の足を踏む(にのあしをふむ)」とは、
ある物事に対して、ためらいや迷いの気持ちが生じて、行動に移れないことを意味します。
簡単に言えば、
「やろうとしたけど、やっぱり躊躇してしまった」
というような場面で使われます。
たとえば…
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「転職の話は気になるけど、なかなか二の足を踏んでしまう」
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「新しい挑戦を勧められたが、リスクが大きくて二の足を踏んでいる」
このように、不安や迷い、警戒心などによって一歩踏み出せない気持ちを表す言葉です。
なぜ「二の足」なのか?語源をひもとく
この表現はもともと、武道や舞踏に由来すると言われています。
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「一の足」=最初の一歩
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「二の足」=その次に踏み出すもう一歩
つまり、「最初の一歩は踏み出したけど、次の足(=二の足)が止まってしまう」という状態が、
「二の足を踏む」という表現になったのです。
たとえば武道では、最初に構えとして足を出し、次の一歩で攻撃に移ることがあります。
この「二の足」をためらっている=本格的な行動に移れず止まっている状態を指すわけです。
このように、「前に進もうとして途中で止まる」ことが比喩的に使われ、
現代の「迷っている・躊躇している」という意味に定着しました。
使い方の例文
ビジネスシーン
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「費用がかさむので、導入にあたっては二の足を踏んでいます」
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「大きな投資案件だったため、経営陣は二の足を踏んだ」
→ 金銭的・戦略的な不安がある場面でよく使われます。
日常生活
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「一人暮らしをしてみたいけど、親が心配で二の足を踏んでしまう」
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「お店に入りたかったけど、入りづらくて二の足を踏んだ」
→ 感情的な戸惑いや不安も、この表現でうまく言い表せます。
「二の足を踏む」と混同されやすい表現
「足踏みする」との違い
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足踏みする:前に進まず、同じ場所でじっとしている状態
→ 行動そのものが停滞している -
二の足を踏む:進もうとして一歩目は出たが、次が出ない状態
→ 意志はあるけど躊躇している
微妙ですが、「足踏み」は停滞、「二の足を踏む」はためらい、とニュアンスが異なります。
心理的背景:「失敗したくない」がブレーキになる
「二の足を踏む」心理の裏には、たいてい“リスク回避”の意識があります。
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うまくいかなかったらどうしよう
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他人にどう思われるだろう
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失敗したら責任を取らなきゃ…
そんな風に考えてしまうと、たとえ最初に「やってみよう!」と思ったとしても、
いざ行動に移すときに不安が顔を出し、足が止まってしまう──
それが「二の足を踏む」状態なのです。
人間の自然な反応なので、恥ずかしいことではありません。
でも、その迷いが続きすぎると、せっかくのチャンスを逃してしまうことも。
まとめ
「二の足を踏む」は、
一度は行動しようと思ったけれど、ためらいや不安から次の一歩を止めてしまう状態を表す表現です。
語源をたどると、最初の足は出たけれど「本格的に進むかどうかで迷う」気持ちが込められています。
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新しいことに挑戦するとき
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リスクのある選択を迫られたとき
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決断までにもう少し時間がほしいとき
そんな場面で「二の足を踏む」という言葉は、心の葛藤を自然に言い表してくれます。
「やるか、やらないか」で迷っているときこそ、
一歩踏み出すかどうか、自分にそっと問いかけてみるのも大切かもしれませんね。