なんとなく意味はわかるけれど、「マターって日本語?英語?」「どうして“〇〇マター”って形で使うの?」と疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「マター(matter)」という言葉の本来の意味や、ビジネスシーンでの使い方、「上司マター」「クライアントマター」などの具体例をまじえて、わかりやすく解説していきます。
カタカナ英語として定着しつつある「マター」ですが、実は使い方次第で相手に誤解を与えることも。 正しく理解して、自信を持って使えるようになりましょう!
そもそも「マター」とは何?
「マター(matter)」は、もともと英語で「問題」「事柄」「案件」といった意味を持つ単語です。
日常英語では「It doesn’t matter.(それは重要じゃない)」「What’s the matter?(どうしたの?)」といったフレーズで使われることが多く、
つまり「話題になっていること」「考慮すべき対象」という意味合いがベースになっています。
この単語がカタカナ英語として日本のビジネスシーンに入ってきたとき、「○○マター」という言い回しで使われるようになりました。
ここでの「○○」は担当者や立場、部署などを示す語句で、「その人・組織が扱うべき問題・判断すべき事柄」という意味になります。
たとえば:
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上司マター = 上司の判断が必要な問題
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クライアントマター = クライアント(顧客)に関わる重要な案件
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法務マター = 法務部門で対応すべき内容
というように、ある種の“担当責任”をやんわり示す表現として便利に使われています。
ただし、「マター」はもともと英語なので、本来のネイティブの使い方とは少しズレがあることも。
和製ビジネス英語として理解しておくと、使いやすさと注意点のバランスが取りやすくなります。
「上司マター」「クライアントマター」の意味と使い方
「上司マター」や「クライアントマター」という表現は、ビジネス現場で実際によく使われる言い回しです。
どちらも「誰が責任を持つべきか」「誰の判断が必要か」を示すために使われます。
まず「上司マター」は、「これは上司が判断・承認すべき案件ですよ」という意味合い。
たとえば、部下同士では決められない重要な方針や予算に関わることなどに対して、
「この件は上司マターなので、確認してから返答します」
というふうに使うと、「私は勝手に決められないことなので、上の人に委ねますね」というやんわりとした責任回避の表現にもなります。
一方「クライアントマター」は、「お客さまの判断や意向が必要なこと」を指します。
たとえば制作現場で、デザインの最終決定が遅れている時などに、
「ここはクライアントマターなので、指示を待ちましょう」
と言えば、「こちらでは決められない領域ですよ」と丁寧に伝えることができます。
このように、「○○マター」は直接的に責任の所在を言わずに、相手や上位者への判断依存をやんわりと表現できる便利なビジネスフレーズです。
ただし、使いすぎると「自分では判断しません」と受け取られる可能性もあるため、言葉の背景や文脈をわきまえた使い方が大切です。
「マター」を使うときの注意点
「マター」は便利なカタカナ語ですが、使い方を間違えると相手に誤解を与えてしまうことがあります。
ここでは、ビジネスシーンで「マター」を使う際に注意しておきたいポイントをまとめてみましょう。
責任の所在が曖昧になりやすい
「上司マターです」「クライアントマターなので」と言えば、やんわり責任を移す表現になりますが、
使いすぎると「自分では判断しません」と聞こえてしまうことも。
特に外部の人に対しては、自分の判断範囲を明確に伝えたうえで使うと、より丁寧な印象になります。
相手によっては伝わらない可能性も
「マター」はビジネス用語として浸透しつつありますが、カタカナ語に不慣れな相手には通じないことも。
とくに世代差や業種による言葉の浸透度に注意し、場合によっては「上司の判断になります」など、日本語に言い換える配慮が必要です。
英語ネイティブにはやや不自然な言い方
英語の “matter” は名詞としては使われますが、「上司マター」などの“誰か+matter”という表現は、英語圏では不自然。
つまりこれは日本独自の和製ビジネス英語です。英語の文脈では使わないよう注意しましょう。
「マター」と似たビジネス用語
「マター」は便利なカタカナ英語ですが、同じように使われるビジネス用語もいくつかあります。
それぞれの違いを知っておくことで、状況に応じた言い換えや使い分けがしやすくなります。
● アジェンダ(agenda)
「会議の議題」や「やることリスト」を意味する言葉。
「マター」が“扱うべき案件そのもの”を指すのに対し、「アジェンダ」は“その場で取り上げる内容”を指すことが多いです。
例:「この件は次回のアジェンダに加えてください」
→ 会議で話すテーマとして追加、というニュアンス。
● アサイン(assign)
「割り当てる」「担当者を決める」という意味。
「マター」は案件の中身を指すのに対し、「アサイン」はその案件を“誰に任せるか”を表します。
例:「このマターは○○さんにアサインしてください」
→ 「この件は○○さんの担当にして」という指示。
● イシュー(issue)
「問題」や「課題」という意味で、特に“解決すべき争点”として使われます。
「マター」は中立的な“案件”という意味合いが強く、「イシュー」は“今まさに対処すべき問題”にフォーカスするイメージ。
例:「このマターの核心イシューはコストですね」
→ 「この案件で一番重要な論点はコストです」という言い換え。
このように、ビジネス用語には似たような意味の言葉がたくさんありますが、
「マター」は“誰が判断・担当するかを示す表現”として覚えておくと便利です。
まとめ
「マター」という言葉は、カタカナ英語として日本のビジネスシーンに広く浸透していますが、その意味や使い方にはちょっとした注意が必要です。
「○○マター」という形で使うことで、誰が判断・対応すべき案件かをやんわり伝えることができます。 とても便利な表現ですが、使いすぎると責任回避に見られたり、相手に伝わりにくくなったりすることもあるため、文脈に応じて言葉を選ぶことが大切です。
カタカナ語の意味をしっかり理解することで、誤解なく、スマートに意思疎通ができるようになります。 これから「マター」という言葉を見聞きしたときは、自信を持って使いこなしてみてくださいね。