「棚に上げる」について説明します。
この表現は、「物を棚の上に置いてしまうと下からは見えなくなる」という現象から来ています。これを比喩的に、「自分にとって不都合な事実や欠点を意図的に隠す」という意味で用います。
それでは、具体的にどんなシチュエーションで「棚に上げる」表現を活用するか、簡単な例文を通じて解説していきます。初心者でも理解しやすいように、短く明瞭な文でご説明しますので、ぜひ参考にしてください。
「棚に上げる」の例文を簡単な短文で
・人は誰しも過ちを犯すものです。あなたも以前失敗したことがあるはずです。そうした自身の失敗を忘れて、他人の失敗を批判するのは公平ではないでしょう。
・報道機関が政府の女性登用の少なさを批判していますが、その報道機関自体の役員に女性が少ないことは見過ごされがちです。自分たちの状況を棚に上げて他を批判するのは矛盾しています。
・専業主婦の妻を持ちながら「女性は社会で活躍すべき」と主張する評論家がいます。この矛盾をどう解釈すればいいのでしょうか。
・政府は「強い農家づくり」を掲げていますが、減反政策による制限を無視して何をしたいのか疑問です。農業の自由度が落ちている現実をどう考えるべきか。
・「動物を解放せよ」と公言する人がテレビに出演していましたが、その人自身がペットの猫を飼っているという事実があります。自身の行動を棚に上げて何を訴えたいのでしょうか。
・ある政党が「最低賃金を1500円に」と訴えていますが、実際にはその政党のアルバイトには800円の時給を提示しています。このギャップをどう説明すれば良いのでしょうか。
・技術的な批判を繰り返す人がいますが、その人自身の技術が特別高いわけではありません。自己の能力を棚に上げて他人を批判するのは問題があります。
・寝坊した夫が自分の遅刻を私のせいにしています。これほど理不尽なことはありません。
・他人の広い人脈に嫉妬することがありますが、自分が同じ努力をしていないことを考えれば、無理に不満を持つべきではないでしょう。
「棚に上げる」の類義語
続いて、「棚に上げる」と意味が近い表現をいくつか紹介します。
四字熟語には、「言行相反」と「言行齟齬」があります。
「言行相反」は、文字通り「言葉と行動が反する」という意味です。つまり、言っていることと実際の行動が一致しない状況を指します。
一方、「言行齟齬」は「言葉と行動が食い違う」という意味で、こちらも発言と行動が一致しない状態を表しています。これら二つの表現はどちらも「棚に上げる」と似た背景の矛盾を描いています。
その他にも、日常的な表現として「目糞鼻糞を笑う」という言葉があります。これは自分も同じような欠点があるにも関わらず、他人の欠点を笑うという行動を指し、これも「棚に上げる」の意味に近いです。
まとめ
ここまで「棚に上げる」という表現について、その使い方と例文を紹介しました。これが皆さんの理解に役立つことを願います。
また、「棚に上げる」と表現が似ている「棚上げ」という言葉もありますが、これらは意味が異なります。「棚に上げる」は自分にとって不都合な事実を隠すことを指し、「棚上げ」は何かを一時的に保留にする、つまり後回しにすることを意味します。
これらの違いを理解し、正しく使い分けることが大切です。