「目論む(もくろむ)」とはどんな言葉?
「目論む(もくろむ)」という言葉、ニュースや小説、あるいはビジネスの場面でも見かけることがあります。
たとえば…
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「売上アップを目論む新商品」
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「敵の出方を見ながら、裏で何かを目論んでいる様子だ」
どこか裏でこっそり考えているようなニュアンスがありますよね。
では実際、「目論む」という言葉にはどんな意味があり、どんな場面で使うのが適切なのでしょうか。
「目論む」の辞書的な意味
国語辞典では「目論む」は次のように定義されています。
ある目的を達成しようとして計画する。
とくに、こっそりと何かをたくらむようなニュアンスを含むこともある。
つまり、単なる「計画」ではなく、何かを狙っている・意図的に仕掛けようとしているという、やや含みのある表現です。
「もくろみ」と「目論む」の違い
「目論む」は動詞で、「もくろみ」はその名詞形です。
形 | 用例 | 説明 |
---|---|---|
動詞:「目論む」 | 計画を目論む/逆転を目論んでいた | 実際に行動に移そうとする能動的な印象 |
名詞:「もくろみ」 | そのもくろみは失敗に終わった | 意図や考え、計画を客観的に捉える印象 |
「目論む」の使い方と例文
▶ ビジネスでの使い方
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新製品で市場の巻き返しを目論んでいる。
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競合の動向を逆手にとった戦略を目論む。
👉 計画を立てているが、成功の保証はなく、あくまで“狙っている”段階。
▶ 日常会話での使い方
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彼は裏で何かを目論んでいる気がする。
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大量買いでポイント還元を目論んだが、対象外だった…。
👉 どことなくズルさ・企み感がにじむ場合も。
どちらも同じ語源ですが、「目論む」のほうが行為としての“仕掛ける感じ”が強いです。
「目論む」がもつ“グレー”なニュアンスに注意
「目論む」は、単に「計画する」と言えば済む場面でも、あえてこの言葉を選ぶことで、
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秘密裏に
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意図的に
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何かを仕掛けようとしている
というような、裏の意図や狙いがあることを暗示する場合があります。
したがって、相手を持ち上げるような文脈では使いにくいことも。
×:「部長は会社のために素晴らしい改革を目論んでいます」
→ あえて“企んでる感”が出てしまう
〇:「部長は会社の将来を見据えた改革を計画しています」
類語・言い換え表現
類語 | ニュアンス |
---|---|
計画する | 一般的な言い回し。誰にでも使える |
たくらむ | ネガティブな意味が強め(悪意や策略を伴う) |
狙う | 対象がはっきりしている印象 |
企てる | 小説や報道でよく使われる。やや硬い表現 |
まとめ:「目論む」は“考えている”だけじゃない
「目論む」は、単なる“考え”ではなく、何かを仕掛けるような意図があるときに使う表現です。
特に以下の点に注目して使うと誤解が生まれにくくなります。
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計画段階の話である(まだ実行されていない)
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人に対して使うときは「含み」や「策略感」が出る
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ビジネス文書などではややカジュアルor皮肉めいた印象になることも
言葉選びひとつで印象は大きく変わります。「目論む」をうまく使えば、慎重に考えている感じや、狙いのある行動を的確に表現できますよ。