ふだん何気なく耳にする「寝耳に水」という言葉。突然の知らせや予想外の出来事に驚いたとき、「それ、寝耳に水なんだけど…」というように使われますよね。
けれど、改めて考えると「寝耳に水」って一体どんな状況?本当に水が耳に入ったら、どうなるの?そして、どんな場面でこの言葉を使うのが正しいのか。
今回は、そんな「寝耳に水」の意味や由来、具体的な使い方を、現代のビジネスや日常のシーンに合わせて、たっぷりご紹介します。
「寝耳に水」とは?意味をやさしく解説
意味:思いもよらない出来事にびっくりすること
「寝耳に水(ねみみにみず)」とは、
「予想もしていなかったことが突然起こり、非常に驚くさま」
を表す慣用句です。
たとえば、
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転職すると聞かされていなかった同僚が、突然「来月で辞めます」と言った。
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会議中に「この案件、来週の月曜までに出してください」と急に指示された。
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家族が「実は引っ越しを考えてる」と唐突に切り出した。
そんな場面で「えっ!? 聞いてないよ、それ…」という驚きのリアクションを表す言葉が「寝耳に水」なんですね。
語源:「寝ているときに耳に水」が意味するもの
この表現、文字通りに読むと「寝ているときに耳に水が入る」という奇妙な光景が思い浮かびます。
でも、実際の意味はこうです。
眠っているときは無防備で油断している状態。そこに突然水が耳に入ると、びっくりして飛び起きてしまう。
つまり、「全く予期していないときに、突発的な出来事が起きたことへの驚き」を、身体的な感覚にたとえたものなんですね。
江戸時代の文献にもすでにこの表現が登場しており、かなり古くから使われていたようです。
例文で理解:「寝耳に水」はこう使う
より具体的に理解するために、シーン別の例文を紹介します。
ビジネスシーン
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「急にプロジェクトの予算が半減って…寝耳に水すぎて言葉も出ませんよ」
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「このタイミングで人事異動なんて、寝耳に水だよな」
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「社外に漏れてるなんて、まさに寝耳に水の情報でした」
プライベートシーン
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「弟が結婚するって。完全に寝耳に水だったわ…」
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「親が家を売るつもりだなんて、寝耳に水の話だった」
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「今日が結婚記念日だったなんて、自分にとっては寝耳に水だよ(反省)」
いずれも共通しているのは、「驚きの度合いが強く、事前の予告や予兆がないこと」です。
類語との違い:「寝耳に水」と「青天の霹靂」
似たような意味でよく使われる表現に「青天の霹靂(へきれき)」があります。
表現 | 意味 | ニュアンス |
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寝耳に水 | 思いがけない出来事に驚く | 主に“聞いた瞬間”の驚き |
青天の霹靂 | 晴れた空にいきなり雷が落ちたような衝撃 | “晴天=安心”が前提の大きな衝撃 |
どちらも“予想外”の出来事を指しますが、
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「寝耳に水」は比較的日常的な驚き
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「青天の霹靂」はより劇的なインパクト
というニュアンスの違いがあります。
使うときの注意点:「自分が驚いたとき」に使うのが基本
「寝耳に水」は、自分や身近な人が“驚いた”という感情を表す言葉です。したがって、
❌「彼にとっては寝耳に水だったはずだ」
✅「私にとっては寝耳に水の話だった」
というように、主語が自分(または一緒に聞いた仲間など)になるように使うのが自然です。
また、単なる「情報不足」ではなく、「まさかそんなことが…」という驚きの感情が含まれていることもポイントです。
現代での使われ方:メールやSNSでも活用される
最近では、「寝耳に水」は口語だけでなく、
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SNSの投稿での驚きのリアクション
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メールでのフォロー時(「突然のお知らせで寝耳に水かと思いますが…」)
のように、ややユーモラスに、または丁寧に驚きを表現する使い方も見られます。
丁寧さややわらかさを保ちつつ、驚きのニュアンスを共有できる便利な表現として重宝されています。
まとめ:「寝耳に水」は“完全に油断していたときの驚き”を表す言葉
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「寝耳に水」とは、予想していなかったことが突然起きたときの驚きを表す慣用句。
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語源は「眠っているときに突然水が耳に入る=びっくりして飛び起きる」というたとえ。
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ビジネスや日常生活で、驚きの度合いが強い出来事に対して使うのが基本。
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類語の「青天の霹靂」と比べて、ややカジュアルな表現として使いやすい。
日々、予定外のことが起こるのが人生。そんなときこそ「寝耳に水!」と軽くリアクションして、前向きに受け止めてみてもいいのかもしれませんね。