「彼は本当に破天荒な人だね」――こんなふうに言われたら、あなたはどんな人物を思い浮かべるでしょうか?
多くの人が、「常識外れな行動をする人」「突飛で型破りな性格」といったイメージを持っているかもしれません。
しかし、「破天荒」という言葉の本来の意味は、実は少し違うのです。今回はその語源や本来の使い方、現代でのニュアンスの変化まで、わかりやすく紹介します。
「破天荒」の意味とは?
「破天荒(はてんこう)」とは、もともと“前人未到のことを初めて成し遂げる”という意味を持つ言葉です。
簡単にいえば、「今まで誰もできなかったことをやり遂げる」というポジティブな評価を込めた言葉でした。
・辞書的な意味
たとえば『広辞苑』では、
今まで誰も成しえなかったことを初めて行うこと。
という解説が載っています。
語源は中国の歴史から
この言葉の語源は、中国・唐の時代の科挙制度(官僚登用試験)にあります。
当時、ある地方では長い間、試験に合格する者がいなかったため「天荒(てんこう)」と呼ばれていました。
そこに初めて合格者が現れたとき、「天荒を破る」=「破天荒」と言われたのが始まりです。
現代では「型破りな人」という意味で使われがち
現代日本では、「破天荒な性格」などといった使い方が多く見られますが、
これは「常識にとらわれない」「大胆不敵」という意味で解釈されている例がほとんどです。
・本来と現代での違いまとめ
項目 | 本来の意味 | 現代の使い方 |
---|---|---|
内容 | 前例のない偉業 | 常識外れ、型破り |
評価 | ポジティブ | 人による(ややネガ含むことも) |
実際の使用例で見る「破天荒」
本来の使い方:
-
「彼の偉業はまさに破天荒だった。日本人初のノーベル賞受賞者だ」
現代風の使い方: -
「彼女ってほんと破天荒だよね。いきなり会社辞めて海外に移住したんだって」
※現代でもポジティブに使われることは多いですが、誤解やズレが生じやすい言葉なので注意が必要です。
まとめ:使うときは「本来の意味」も意識して
「破天荒」は、前人未到の偉業を指す言葉から、「型破りで自由奔放な人」としての使い方に広がってきました。
どちらの意味も時代とともに定着してきていますが、大切なのはその背景を理解して使うこと。
本来の意味を知っておくことで、言葉への理解がぐっと深まりますよ。