テレビのトーク番組やインタビューで、タレントや出演者が「〇〇させていただきました」をやたらと連発している場面を目にすることがあります。
この表現は本来、謙虚さや礼儀を示すための敬語ですが、あまりに多用されると「言わされている感」や過剰な自己アピールの印象を与えることがあります。
本記事では、「させていただきました」の意味や正しい使い方、使う側の心理、聞き手の受け止め方、ビジネスや日常での適切な表現方法について深掘りします。
「させていただく」とは?
「させていただく」は、自分の行動が相手の許可や恩恵の上で行われたことを示す謙譲表現です。
簡単に言えば「自分の行動=相手のおかげで可能になった」というニュアンスを含んでいます。
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基本例
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「報告させていただきます」
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「手伝わせていただきました」
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「ご確認させていただきます」
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使用場面
仕事や正式な場面でよく使われ、礼儀正しさを示す表現として定番です。
使う側の心理
「させていただきました」を連発してしまう人には、いくつか心理的な背景があります。
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謙虚さを強調したい
自分の行動が相手に迷惑をかけていないことや、感謝の気持ちを示す意図があります。 -
周囲への配慮や丁寧さを示したい
ビジネスや公の場で「礼儀正しい印象」を与えるため、無意識に敬語を多用することがあります。 -
社会的・教育的影響
タレント事務所や学校などで「敬語を丁寧に使うこと」を教えられる場合があり、習慣化してしまうことがあります。 -
自己防衛や印象操作
「言葉を丁寧に使うことで、自分の評価を守る」という心理も働きます。
聞き手が感じる印象
一方、聞き手からすると、敬語の連発は必ずしも心地よいとは限りません。
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過剰使用はくどい印象
同じフレーズが何度も出ると、作られた印象を与えがちです。 -
言わされている感
「自然な会話」よりも「教育や指示で言わされている」と感じることがあります。 -
適切な使い方ならポジティブに受け取られる
文脈や回数、話の内容によって、礼儀正しさや丁寧さとして受け止めてもらえます。
心理学的に見る多用の理由
心理学的に見ると、敬語の過剰使用には次のような理由があります。
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安心感や自己肯定感の向上
「謙虚な表現=良い印象」と無意識に結びつけることで、自分の立場を安定させる。 -
周囲からの評価を意識
目上や不特定多数に見られる状況で、自己防衛的に敬語を強調。 -
衝動的な自己防衛行動
「敬語を繰り返すことで自分の評価を守る」行動が無意識に起こることがあります。
適切な使い方のポイント
「させていただきました」は連発を避け、自然に使うのがコツです。
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連発を避ける
1~2回で十分に謙虚さを示せます。 -
動作や報告の内容に合わせる
本当に感謝や許可を示す場面で使用。 -
短く端的に表現
「報告させていただきます」など、冗長にならないように注意。 -
聞き手の立場を意識
同じ場面で何度も使うとくどくなるため、相手との関係性を考える。
言葉の過剰使用を感じたときの受け止め方
聞き手として違和感を覚えた場合は、以下の点を意識すると気持ちが楽になります。
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過剰解釈しない
相手は謙虚さを示したいだけで、悪意はありません。 -
文化や演出の一部と理解
メディアや教育的背景の影響で使われている場合があります。 -
自分が使う場合の意識
過度な敬語連発は相手にくどい印象を与えるため、自然な敬語を心がけましょう。
まとめ
「させていただきました」は、謙虚さや礼儀を示す便利な敬語表現です。しかし、連発すると聞き手に違和感や作られた印象を与えることがあります。
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使う側の心理:謙虚さを強調したい・自己防衛・教育の影響
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聞く側の印象:作られた印象・言わされている感・場合によってはポジティブ
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適切な使い方:1~2回で十分、文脈や相手に応じて自然に使用
状況や文脈を意識しながら使うことで、礼儀正しさを伝えつつ、違和感を与えずに会話を進めることができます。