「二枚目」と聞くと、少し古風な響きを感じるかもしれませんが、実は「イケメン」や「かっこいい男性」を意味する言葉です。その語源は江戸時代の歌舞伎にあり、見た目の美しさだけでなく、演技力や品格も求められた特別な役柄を指していました。
現代では「イケメン」や「ハンサム」という言葉が主流ですが、お笑いの世界や演劇の専門用語として「二枚目」「三枚目」は今でも現役です。今回の記事では、「二枚目」の歴史や他の「〇枚目」との違い、そして昔と今で変わったイケメン像 について詳しく解説します。
「若者言葉」と「古風な表現」のギャップを楽しみながら、言葉の奥深さを感じてみませんか?
「二枚目」ってどんな意味?
「二枚目」とはどんな人を指す言葉なのか?
現代では、「二枚目」 という言葉は主に 「イケメン」「かっこいい男性」 を指す際に使われます。
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例えば、テレビドラマや映画の登場人物を紹介する際に、「彼は二枚目キャラだね!」 と言えば、
→ 「見た目が整っていて、クールで真面目なキャラクター」 をイメージすることができます。 -
また、俳優や芸能人に対しても、「二枚目俳優」 という言い方をすることがあります。
- この場合、特に 恋愛ドラマやラブストーリーの主役を務めるような、女性ファンからの支持が高い美男子 というニュアンスが含まれます。
現代の「二枚目」のイメージ
現代における「二枚目」は、単に 見た目が良いだけでなく、スマートで真面目、どこかミステリアスな魅力を持つ人物 を指すことが多いです。
- 見た目: 整った顔立ち、スタイルが良い、清潔感がある
- 性格: クール、冷静、誠実、紳士的
- 役割: ドラマや映画の主役、特に恋愛物やヒーロー役としての登場が多い
例えば、俳優の 佐藤健さん や 福士蒼汰さん、さらには海外俳優の トム・クルーズさん など、見た目も演技も魅力的な俳優に対して 「二枚目俳優」 と呼ばれることがあります。
「二枚目」という言葉が使われる場面
「二枚目」という言葉は、特定のシチュエーションや場面で使われることが多いです。
1. 芸能・エンタメ業界での使い方
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映画やドラマのキャスティングで:
- 「今回の主人公役は、二枚目俳優が演じます。」
- これは、イケメンで魅力的な俳優が主役を務める ことを示しています。
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舞台(特に伝統芸能や歌舞伎)で:
- 「あの役者は二枚目を得意とする。」
- 歌舞伎や能、さらには現代劇でも、美男子役、ヒーロー役、恋愛物語の主役 を演じる役者を示します。
2. 日常会話での使い方
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友人同士の会話:
- 「あの人、見た目もかっこいいし、まさに二枚目だね!」
- 見た目だけでなく、行動や振る舞いもイケメンらしい人 に対して使います。
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職場や学校での評価:
- 「彼は仕事もできるし、見た目も二枚目だよね。」
- 「新入社員の〇〇さん、二枚目って感じでみんなの注目の的だよ。」
- 見た目だけでなく、内面や実力も伴った人物 を褒める際にも使われます。
3. 漫才やコントの世界での使い方
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漫才コンビやコントグループでは、「二枚目」「三枚目」 という表現がよく使われます。
- 「二枚目」 → かっこいい役、真面目な役、ツッコミ役としても機能することが多い。
- 「三枚目」 → おどけた役、面白い役、ボケ役を担うことが多い。
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特に、漫才師やお笑い芸人の中でも、見た目が良くてツッコミが上手な人に対して 「二枚目ツッコミ」 という表現が使われます。
- 例えば、漫才コンビの中で イケメン側がツッコミ役 を務めている場合などです。
「二枚目」の言葉から受ける印象
「二枚目」という言葉は、古風でありながら、ポジティブなイメージ を持つ言葉です。
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良い印象:
- かっこいい、魅力的、モテる、スマート、誠実、頼りがいがある など、特に男性に対してプラスの評価を与える表現です。
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少し古風な印象もある:
- 若い世代では、「イケメン」「かっこいい」「ハンサム」 と言う方が一般的ですが、
- 「二枚目」 という表現を使うことで、どこか ノスタルジックで知的な雰囲気 を演出することもできます。
序章から見える「二枚目」の魅力
現代においても「二枚目」という言葉は、イケメンやかっこいい男性を指すポジティブな表現 として使われています。しかし、その語源や本来の意味を知ることで、単なる見た目の良さだけでなく、伝統的な舞台文化や役割の違いにも通じる奥深い言葉 であることがわかります。
次の章では、そんな「二枚目」という言葉の 語源や歴史 にさらに迫り、なぜこの言葉がイケメンを指すようになったのかを探っていきます。
語源をひも解く:「二枚目」という言葉のルーツとは?
「二枚目」という言葉は、現代では「イケメン」や「かっこいい男性」を指しますが、その語源をさかのぼると、実は 江戸時代の歌舞伎や芝居文化 に深く関係しています。この章では、「二枚目」の誕生から、他の「〇枚目」との違いまで を詳しく解説していきます。
「二枚目」の誕生は江戸時代の歌舞伎から
江戸時代の歌舞伎文化と「枚目」の役割分け
江戸時代の歌舞伎では、登場人物や役者を 「〇枚目」 と 「枚数」で役柄を分類する独自の表現 がありました。
- 役者たちは、演じるキャラクターや物語の中での役割に応じて、「一枚目」「二枚目」「三枚目」「四枚目」 といった風に呼ばれていました。
- これは、芝居の台本(番付)や役者絵(ビジュアル)をまとめた紙の順番に由来 しています。
特に歌舞伎は、庶民の娯楽 として人気があり、役者や役柄に番号をつけることで、観客にも 「この役者はどんなキャラを演じるのか?」 をわかりやすく伝えていたのです。
「二枚目」の具体的な役柄とは?
「二枚目」 は、歌舞伎や芝居の中で 「若くて美しい男性」「恋愛やヒーロー役を演じる役者」 を指していました。
- 見た目が整っているだけでなく、演技も優れている役者 に与えられた称号です。
- 主に 「恋愛物語」や「人情話」 などで、ヒーロー役や女性を助ける役柄 を演じることが多かったとされています。
例えば、
- 現代の映画やドラマでいうところの 「ラブストーリーの主人公」 や 「正義感の強いヒーロー」 のようなポジションです。
- 二枚目役者 は、女性ファンからの人気も高く、当時の芝居小屋では 「黄色い声援(現在のアイドル的な応援)」 が飛ぶこともあったそうです。
役者の「〇枚目」という呼び方の由来
「二枚目」だけでなく、歌舞伎や芝居の世界では他にも 「一枚目」「三枚目」「四枚目」 という役割がありました。
1. 「一枚目」:主役(大役)を演じる役者
- 「一枚目」 は、芝居の中で 「主人公」や「物語の中心となる大役」 を演じる役者に与えられました。
- 特に、時代劇や歴史物の大名や武士、リーダー的な人物 が多く、
- 例えば、現在の大河ドラマで言えば、主人公(徳川家康や坂本龍馬など) を演じる俳優が「一枚目」に相当します。
特徴 | 内容 |
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見た目 | 堂々とした佇まい、威厳がある、貫禄のある顔立ち。 |
演技スタイル | 大きな身振りや、観客にわかりやすいセリフ回し。主役として物語を引っ張る存在。 |
役柄 | リーダー、ヒーロー、物語の中心人物。特に歴史物や時代劇では重要な役割。 |
2. 「二枚目」:美男子・恋愛役・ヒーロー役
- 先述の通り、「二枚目」 は 美男子役 や 恋愛物のヒーロー役 を演じる役者を指します。
- 役柄としては、主人公(「一枚目」)の相棒 や ラブストーリーの相手役 として登場することが多く、
- 特に 恋愛劇や人情話 では、観客(特に女性客)からの人気が高かったそうです。
3. 「三枚目」:おどけ役・コメディリリーフ
- 「三枚目」 は、主に 「おどけ役」「笑いを提供するキャラクター」 を演じる役者を指しました。
- 物語の中で、シリアスなシーンに**「笑いの要素を加える役割」** を持ち、観客をリラックスさせる存在です。
- 特に、現代のお笑い芸人や漫才の 「ボケ担当」 に近いイメージです。
特徴 | 内容 |
---|---|
見た目 | ちょっとユーモラスな風貌、表情豊か、動きがコミカル。 |
演技スタイル | オーバーリアクションや、わざとドジを演じることで笑いを誘う。 |
役柄 | 主役や二枚目を引き立てる役、コメディパートを担当し、物語に明るさを加える。 |
4. 「四枚目」:脇役・中間管理職的な存在
- 「四枚目」 は、物語の中で 「脇役」「サポート役」 として活躍する役者を指しました。
- 主に、一枚目や二枚目のキャラクターを引き立てるための役柄 であり、物語の進行に欠かせない存在です。
- 現代のドラマや映画で言えば、中間管理職やサポート役、主人公を支える仲間キャラクター に該当します。
「二枚目」という言葉は、見た目だけでなく役割も重要だった!
「二枚目」という言葉は、単に 「見た目がかっこいい」 だけでなく、芝居や物語の中での 「演じるべき役割や立ち位置」にも基づいた言葉 でした。
- 江戸時代の歌舞伎では、役者の演技力や見た目、さらには観客からの人気も総合して 「〇枚目」として評価されていた のです。
- こうした文化が現代にも受け継がれ、漫才やお笑いの世界でも 「二枚目」「三枚目」という言葉が使われ続けている ことは、非常に興味深いですよね。
次の章では、「二枚目役者」として名を馳せた歴史的な人物や、現代の「二枚目」との違い について、さらに掘り下げていきます。
役柄としての「二枚目」と現代のイケメン像の違い
「二枚目」という言葉の語源が江戸時代の歌舞伎にあることはわかりましたが、当時の「二枚目役者」と現代の「イケメン」にはどのような違いがあるのでしょうか? また、単に見た目が良ければ「二枚目」になれるのか、役者として求められた条件や背景を掘り下げてみます。
江戸時代の「二枚目役者」はどんな人物?
1. 歌舞伎の世界での「二枚目役者」の位置づけ
江戸時代の歌舞伎において、「二枚目役者」とは単に見た目が良いだけではなく、特定の役割やキャラクター性を持つ役者 を指していました。
- 「若く美しい男性」「恋愛やヒーロー役を演じる」 ことが主な役割でしたが、見た目の良さだけでなく、演技力や品格、立ち振る舞い も求められました。
特徴 | 内容 |
---|---|
見た目 | 整った顔立ち、端正な容姿、スラリとした体型。 |
演技スタイル | 柔らかく優雅な動き、感情を抑えた中にも表情豊かな演技。 |
役柄 | 恋愛物語のヒーロー役、悲劇の主人公、時には女性(若衆役)を演じることもあった。 |
求められた要素 | 見た目の美しさだけでなく、観客を魅了する色気や奥ゆかしさ、伝統的な所作や台詞回しの技術。 |
観客への影響 | 主に女性客からの人気が高く、当時の芝居小屋では「黄色い声援」が飛び交い、役者絵(ポスター)も多く販売された。 |
2. 実際の「二枚目役者」の例:伝説的な歌舞伎役者たち
中村歌右衛門(なかむら うたえもん)
- 江戸時代の歌舞伎界を代表する「二枚目役者」 であり、特に美男子役や恋愛物語の主人公を演じることが多かった人物です。
- その 美しい所作 と 洗練された演技 から、当時の女性ファンから絶大な人気を集めました。
- また、若衆(わかしゅ)役(少年や青年の女性的な役柄)を演じることもあり、男性のファンも多かった と伝えられています。
市川團十郎(いちかわ だんじゅうろう)
- 江戸時代の初代から続く 市川團十郎家 は、主に「荒事(あらごと)」の演技が得意でしたが、歴代の中には 「二枚目役」もこなせる多才な役者 もいました。
- 特に 五代目市川團十郎 は、二枚目役と荒事の両方を演じられる稀有な役者 として評価され、力強さと美しさを兼ね備えた存在 でした。
現代の「イケメン」と「二枚目」の共通点・相違点
1. 共通点:見た目の美しさと魅力的なオーラ
- 現代の「イケメン」と昔の「二枚目」には、やはり 見た目の良さ という共通点があります。
- 整った顔立ち、スタイルの良さ、清潔感があり、人を惹きつける魅力的なオーラ を持つ点では変わりありません。
項目 | 二枚目(江戸時代) | イケメン(現代) |
---|---|---|
見た目の条件 | 整った顔立ち、色白、着物姿が似合う、優雅な所作 | 端正な顔立ち、清潔感、スタイルの良さ、ファッションセンス |
演じる役柄 | 恋愛物語のヒーロー、悲劇の主人公、若衆(少年・青年)の女性役も可能 | ラブストーリーの主人公、ヒーロー役、時にはコメディやサブカルチャーの役も |
求められる要素 | 演技力、所作の美しさ、感情を抑えた中に色気を見せる技術 | 演技力、トーク力、SNSやメディア対応力、時代に合ったキャラクター性 |
2. 相違点:見た目だけでなく、役柄や求められるスキルの違い
演技の幅広さと現代的なイメージ
- 現代の「イケメン」は、見た目が良いだけではなく、バラエティ番組やSNSでの対応力、トーク力 なども求められます。
- 一方、江戸時代の「二枚目」は、舞台上での美しさや演技力に特化していた ため、日常生活やメディアでのイメージはあまり重視されませんでした。
演じる役柄の違い
- 昔の「二枚目役者」は、基本的に 美男子役や恋愛物語のヒーロー に特化していましたが、
- 現代の「イケメン俳優」は、アクション映画のヒーロー役、シリアスな演技、時にはコメディや悪役もこなす など、より 多様な役柄 に対応することが求められています。
かっこいいだけではない?「二枚目」に求められた条件
1. 江戸時代の「二枚目役者」に求められた条件
- 単に見た目が良いだけでは「二枚目役者」としては認められませんでした。
- 「二枚目」には、以下のような厳しい条件 がありました。
条件 | 詳細 |
---|---|
演技力 | 感情を抑えた中にも、観客に伝わる表現力が必要でした。特に、恋愛劇では**「目だけで語る演技」** などが求められました。 |
美しい所作 | 着物の着こなしや、扇子や刀を使った動作の美しさが重視されました。特に女性役を演じる際には、しなやかさ も求められました。 |
品格と色気 | 舞台上だけでなく、普段の生活でも役者としての品格を保つことが期待され、観客に夢を見せ続ける存在 であることが求められました。 |
観客からの人気 | 特に女性客からの支持が高いことは、「二枚目役者」として成功するための重要な要素でした。役者絵(ポスター) の売上も人気のバロメーターでした。 |
江戸時代の「二枚目役者」は、見た目だけでなく演技や人柄も問われたプロフェッショナル
江戸時代の「二枚目役者」は、見た目の美しさだけではなく、演技力や所作、観客を魅了するオーラ を持っていなければなりませんでした。一方、現代の「イケメン」は、演技だけでなく、メディア対応や多様なキャラクター性 も求められるなど、時代と共に「かっこいい男性」の基準も変化しています。
次の章では、「二枚目」だけでなく「一枚目」「三枚目」「四枚目」 といった他の役柄の違いや、それぞれの役割が持つ独自の魅力について掘り下げていきます。