人間関係や日常の出来事において、何かを心に引っ掛けてしまうことは誰にでもあります。そんな時に表現したくなる感情が「わだかまり」というものです。
この言葉は、解決が困難な心のもつれや、すっきりしない感情を表すのに使われることが多く、日本語の奥深さを感じさせる表現の一つです。
本記事では、「わだかまり」という言葉の意味、使い方、由来、さらに実際に使われる例文を通じて、この感情の複雑さとその表現の豊かさを探っていきます。
「わだかまり」の定義
心に引っかかりがあり、はっきりとした不信感や不満があるかどうか自身でも確信が持てないが、気持ちが晴れずにいる状態を指して「わだかまりがある」と表現します。
すなわち、「わだかまり」とは消し去ることができずに残る疑念や不満、不信感を意味する言葉です。
類語には「こだわり」がありますが、こだわりは良い意味でも悪い意味でも用いられるのに対し、「わだかまり」は負の意味合いでのみ使用されます。
「わだかまり」の語源
「わだかまり」は漢字で「蟠り」と表記されます。
この語は、蛇が体を丸める様子を描く「蟠る(わだかまる)」という動詞から派生しています。蛇が体を巻きつけることから、複雑で理解しにくい状態を象徴し、それが心理的なもつれや解決しがたい感情の状態を指すようになりました。
従って、「わだかまり」とは、不信感や不満、疑念が残る精神状態を示し、「わだかまりがある」と言う時は、そうした感情が心に留まり、解消されずにいることを表現しています。
「わだかまり」の正しい使い方
「わだかまり」という表現は、解消しがたい不信感、不満、疑念が存在する場合に適用されます。
具体的には、自分の感情が不満なのか疑念なのか明確でないときに、この言葉が役立つでしょう。自身がどのように行動すべきか決めかねる時や、心に残る否定的な感情を指して「わだかまりがある」と表現することができます。
また、「わだかまり」を使用する他の一般的な表現には、「わだかまりを残す(問題が完全には解決せず、心に何かが残ること)」「わだかまりが解ける(心のもやもやが晴れること)」「わだかまりを捨てる(不満や疑念を放棄すること)」などがあります。
「わだかまり」を用いた具体例
以下に「わだかまり」を用いた例文をいくつか紹介します。
1.わだかまりが残らないように、徹底的に話し合ってから別れたほうが良い。 恋人との別れや離婚の際には、双方に溜まった不満や疑念が存在します。これを解消し、後々の心残りがないようにするための一つの方法です。
2.10年ぶりに再会した喧嘩別れした親友と酒を交わすうちに、心に残っていたわだかまりが自然と解けていった。 相手への不快感や未解決の感情が、和解の瞬間に消える様子を「わだかまりが解ける」と表現します。
3.わだかまりを捨てて、彼女ともう一度やり直すことにした。 心に残る負の感情を放棄し、新たな関係を築こうと決意した時に用いる表現です。
まとめ
「こだわり」とは異なり、常にネガティブな文脈で用いられる「わだかまり」は、日本人の感情表現に非常にマッチした便利な言葉です。
例えば、自分でも理由がつかめない不快感が残る時や、まだ言い足りないことがあるのにどうにか抑えようとする心情を表す際に効果的です。この言葉は、そうした決着がつかない感情や、心の中のもやもやを上手く表現するために使うと良いでしょう。