「この商品すごくいいよ！」とSNSで紹介している投稿を見て、つい買いたくなった経験はありませんか？ ところがその裏に「企業からお金をもらった宣伝」だとしたらどうでしょう。これがまさに「ステマ」です。
「ステマ」とは「ステルスマーケティング（stealth marketing）」の略で、広告であることを隠して宣伝する行為を指します。近年は芸能人やインフルエンサーの発言をきっかけに広まり、ニュースや日常会話でも使われるようになりました。もともとはカタカナ英語ですが、ネットスラング的に若者の間で広がった歴史もあります。
本記事では、「ステマ」の意味や語源、使い方の例、そして社会問題化した背景や規制について詳しく解説します。
「ステマ」の意味
「ステマ」とは、広告や宣伝であることを隠して商品やサービスを宣伝する行為を指します。
基本的な定義
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「ステマ」は「ステルス（隠密）」＋「マーケティング（市場活動・宣伝）」を組み合わせた言葉。
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本来は「ステルスマーケティング」と呼ばれますが、日本では省略して「ステマ」と言うのが一般的です。
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消費者に「これは広告ではなく個人の感想や自然な口コミだ」と思わせる点が特徴です。
具体例
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インフルエンサーが企業から報酬を受け取りながら「自分が気に入っているだけ」と装って商品を紹介する。
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ブログやレビューサイトに、実際は企業が依頼した宣伝記事を「体験談」として載せる。
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店頭やネット上で「口コミ風」の宣伝を仕込む。
現代的なニュアンス
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一般的な広告よりも“隠れている”分、発覚すると強い批判を浴びやすい。
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ネット世代を中心に「信用できない情報」「やらせ感のある紹介」を指してカジュアルに使われることもあります。
例：「このレビュー、ちょっとステマっぽいよね」
語源と由来
英語「stealth marketing」から
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「ステマ」は英語の stealth marketing（ステルスマーケティング） の略語です。
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「stealth」は「隠密」「こっそり行う」という意味。
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「marketing」は「販売促進」「市場活動」。
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直訳すると「隠れた宣伝活動」ということになります。
日本での広まり
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日本では2010年代前半、芸能人のブログやSNSで「広告と知らされないまま商品が紹介されていた」ことが問題となり、一気に注目されました。
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ネット掲示板やSNSで「これってステマじゃない？」と揶揄する形で広まり、一般的な言葉へと定着。
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とくに若者を中心に使われ始め、やがてテレビ番組や新聞記事にも登場するほど一般化しました。
ネットスラング的な側面
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日本では「ステマ」という略語自体は独自の省略であり、英語圏ではほとんど使われません。
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そのため「カタカナ英語」であると同時に、「ネットスラング的に広まった日本独自の言葉」といえます。
「ステマ」の使い方の例
「ステマ」は、広告であることを隠した宣伝行為を指すため、日常会話やネット上では「信用できない宣伝」や「やらせ感のある口コミ」といったニュアンスでよく使われます。
日常会話での使い方
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「このコスメレビュー、やけに褒めすぎてるけどステマっぽいよね」
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「あのYouTuberの動画、実はステマだったって炎上してたよ」
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「これってPRって書いてないけど、どう見てもステマじゃない？」
ビジネス・ニュースでの使い方
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「芸能人ブログでのステマが発覚し、消費者庁が調査に乗り出した」
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「インフルエンサーを活用したマーケティングは効果的だが、ステマと誤解されないよう透明性が求められる」
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「ステマ規制が強化され、広告表示のガイドラインが整備された」
ネットスラング的な軽い使い方
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「その褒め方、ステマじゃないの？（笑）」
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「ここまで推すと逆にステマ感ある」
ポイント
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公式の場では「ステルスマーケティング」と表現することが多い。
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「ステマ」という省略は、くだけた日常会話やネットスラングとして広まったもの。
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ネガティブなニュアンスを含むことが多いため、使う場面には注意が必要。
「ステマ」の問題点
「ステマ」は一見すると効果的な宣伝手法に思えますが、消費者や企業にとって大きなリスクがあります。
消費者を欺く行為
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広告であることを隠すため、消費者は「本当の口コミ」だと信じてしまいます。
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後で宣伝だったとわかると「だまされた」という不信感につながり、ブランドイメージを損ないます。
法律や規制に抵触する可能性
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日本では2023年に消費者庁が「ステマは不当表示」と明確に位置づけました。
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広告やPRであることを隠すと、景品表示法や薬機法などに違反する恐れがあります。
ネット炎上リスク
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SNS時代では、ステマが発覚すると一気に拡散・炎上します。
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「不誠実な企業」というレッテルを貼られ、長期的に信頼を失う可能性も。
インフルエンサーへのダメージ
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ステマに関わったインフルエンサー自身も「信用できない人」という烙印を押されることがあります。
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ファンやフォロワーからの信頼を失い、活動に大きな影響を与えることも少なくありません。
ポイント
ステマは短期的には宣伝効果があるかもしれませんが、消費者の信頼を裏切る手法であり、長期的には企業や個人に深刻なダメージを与える可能性があります。そのため現代では「絶対に避けるべきNG行為」とされています。
日本での規制とガイドライン
消費者庁の方針（2023年）
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消費者庁は2023年、「ステルスマーケティングは不当表示にあたる」と正式に発表しました。
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これにより、広告であることを隠して宣伝する行為は法律違反となり、処罰や行政指導の対象になります。
広告表示の義務化
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SNSやブログなどで商品を紹介する場合、「PR」「広告」「提供」などの明示が必須となりました。
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例えば、インフルエンサーが企業から報酬や商品を受け取って紹介する場合は、はっきりと表記しなければなりません。
ガイドラインの整備
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プラットフォームごとに対応が進んでいます。
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Instagram：投稿に「#PR」や「タイアップ投稿」機能を用意。
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YouTube：動画内で「プロモーションを含みます」と明示できる設定を追加。
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これらは消費者が「これは広告だ」と理解できるようにするための仕組みです。
違反した場合のリスク
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企業は景品表示法違反で行政処分や課徴金の対象になる可能性があります。
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インフルエンサーも「不誠実だ」という印象を持たれ、活動に悪影響を及ぼします。
ポイント
「ステマ」はすでに法律で規制されている行為です。広告とわかる表示をきちんと行うことは、企業の責任であり、消費者との信頼関係を築くうえでも欠かせません。
類語・関連語
「ステマ」は広告や宣伝の一種ですが、近い意味を持つ言葉や関連する表現も多くあります。それぞれの違いを理解すると、より正しく使い分けられます。
「 PR（パブリックリレーションズ）」
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意味：企業や団体が広報活動を通じて社会との関係を築くこと。
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違い：「PR」は正々堂々と広報するのに対し、「ステマ」は広告であることを隠す。
「タイアップ広告」
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意味：メディアやインフルエンサーと提携して行う広告。
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違い：広告であることを明示しているので、ステマとは異なり合法的。
「インフルエンサーマーケティング」
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意味：影響力のある人物（インフルエンサー）を起用して商品を宣伝する手法。
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違い：広告表記をすれば正当な手法。ただし表記を隠すとステマになる。
「やらせ」
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意味：実際には仕組まれた演出や偽装行為。
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違い：必ずしも広告とは限らないが、消費者をだますという点でステマと共通。
「サクラ」
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意味：一般客を装って商品を持ち上げる人。
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違い：イベントや販売現場で使われることが多い。ステマの一形態といえる。
ポイント
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ステマは「広告であることを隠す」ことが最大の特徴。
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PRやインフルエンサーマーケティングは正しく表記すれば合法だが、表記を怠るとステマ扱いになる。
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「やらせ」「サクラ」とも重なる部分があり、いずれも消費者の信頼を損なうリスクが高い。
まとめ
「ステマ」とは「ステルスマーケティング（stealth marketing）」の略で、広告であることを隠して商品やサービスを宣伝する行為を指します。日本では2010年代に芸能人ブログやSNSで話題となり、ネットスラング的に広まった後、今ではニュースでも頻繁に登場する言葉になりました。
一方で、ステマは消費者を欺く行為であり、発覚すれば企業やインフルエンサーの信頼を大きく損ないます。さらに2023年以降は法的にも「不当表示」とされ、広告表記を明示しない宣伝は違法とみなされるようになりました。
「ステマ」はPRやインフルエンサーマーケティングと混同されがちですが、最大の違いは「広告であることを隠すかどうか」です。正しく表記すれば健全な宣伝になりますが、隠してしまえばステマになり、信頼を失うリスクが生じます。
つまり、現代において「ステマ」は避けるべき行為であり、透明性を大切にした情報発信こそが、消費者との信頼関係を築く第一歩といえるでしょう。
