「あ〜、そろそろ本気出さないと尻に火がつくぞ…」
そんな言い回し、聞いたことありませんか?
日常会話でも仕事の現場でも、切羽詰まった状況を表す言葉としてよく使われる「尻に火がつく」。
でもこの表現、なぜ“尻”に“火”がつくのか、考えたことはありますか?
今回は、「尻に火がつく」という言葉の本来の意味や由来、使われ方、そしてちょっとした注意点まで、分かりやすく解説していきます。
「尻に火がつく」の意味とは?
「尻に火がつく」とは、
何かを先延ばしにしていた結果、いよいよ逃げられない状況に追い込まれ、慌てて行動を始めることを意味する言い回しです。
簡単に言えば、「ヤバい状況になってやっと動き出す」イメージです。
たとえば…
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締切前日になってやっとレポートを書き始める
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約束を忘れていて、直前に大慌てで準備する
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「まだ大丈夫」と思っていたら、上司に進捗を聞かれて焦る
こうした場面で「もう尻に火がついた!」という言葉がよく使われます。
なぜ「尻」に「火」?語源をたどる
この表現が生まれた背景には、“身体に直接火がつく=非常に危険な状態”という感覚があります。
江戸時代からの比喩?
明確な起源は定かではありませんが、「尻に火がつく」は江戸時代の町人言葉として広まりました。
当時の火事は致命的で、しかも木造の町並みでは燃え広がるのが早いため、「火がすぐそこに迫る恐怖」は現実でした。
つまり、「尻に火がついたら命に関わる!」=一刻の猶予もないという強い危機感の比喩表現だったわけです。
どんな場面で使う?例文で確認
ビジネスシーンでの使用例
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「このままじゃ納期に間に合わないぞ。そろそろ尻に火がついてきたな…」
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「いつも締切ギリギリになって尻に火がつくまで動かないの、どうにかならない?」
日常生活での使用例
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「宿題、今日までだったの?完全に尻に火がついたじゃん…!」
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「旅行の準備、まだしてない。尻に火がついてきた感じする〜」
多くの場合、自分自身に対して自嘲気味に使うことが多いのが特徴です。
ポジティブ?ネガティブ?受け取られ方に注意
「尻に火がつく」は、ユーモラスにも使える表現ですが、ネガティブな印象を与えることもあります。
✔ こんなふうに受け取られる可能性も…
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「計画性がない」
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「追い込まれないと動かない人」
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「反省しないタイプ」
特にビジネスシーンでは、他人に使うと失礼にあたる可能性もあるため、使う相手と場面を選ぶことが大切です。
「尻に火がつく」と似た表現
似たようなニュアンスの言い回しもいくつか存在します。
表現 | 意味 |
---|---|
背水の陣を敷く | 退路を断ち、一か八かで挑む覚悟 |
首が回らない | 経済的・精神的に余裕がなくなる |
火の車 | 家計や経営が非常に苦しい状態 |
追い詰められる | 逃げ場がなくなって精神的に追い込まれる |
状況や文脈によって、使い分けると表現の幅が広がります。
まとめ:「尻に火がつく」は“自分を動かすスイッチ”にもなる
「尻に火がつく」という表現は、単なる焦りや失敗ではなく、人が動き出す“きっかけ”を表す言葉とも言えます。
ときには自分を奮い立たせるために「もう尻に火がついてるぞ!」と声に出してみるのも悪くないかもしれません。
ただし、毎回“火がつくまで動かない”のは習慣として考えもの。
余裕のある行動を心がけたいものですね。