「さあ、さっさと帰ろう」とか「最後の授業は世界史か。これは避けたいな」といった場面で使われる「ずらかる」。
この表現は、逃げ出す、立ち去る、あるいは怠けるといった意味合いで用いられますが、一体どこから来た言葉なのでしょうか?
「ずら」と聞いて思い浮かべるのは、まさかのカツラ…?
そんなわけで、この記事では「ずらかる」の語源や意味、使い方について詳しく掘り下げてみました。
「ずらかる」の由来と意味:どの地域の言葉?
「ずらかる」という言葉を広辞苑で調べてみたところ、以下のような意味が記載されています。
【ずらかる】
- 逃げる、逃走する、逃げ出す。
- 盗んだものを隠すまたは売り払うという意味での他動詞使用。
加えて、元々は「盗人の隠語」として使用されたことも指摘されています。
確かに、この言葉は普段の会話ではあまり使われないかもしれませんね。
「ずらかる」は、特に「何か悪事を働いた後に逃げる」というニュアンスを含んで使われがちです。
この言葉は明治時代から使用されているようですが(ということは、例えば鼠小僧は「ずらかる」とは言っていないわけです)、その具体的な語源には明確な説が存在しないままです。
ただし、調査を進める中で、「ずらかる」の「ず」は「頭」という意味で、「かる」は「駆る」とする説がありました。これによると、「頭を駆る」つまりは何かを考え抜いて逃げる、という解釈が成り立ちますが、「頭」がどのように関連しているのかははっきりしません。
盗人の隠語として使われた背景を考えると、その起源を正確に知ることは難しいでしょう。隠語は本来、理解されにくくするために使われるためですから。
また、1980年代に入ると、「学校を無断で早退する」といった意味で「ずらかる」が使われるようになりました。当時の学校生活がどれだけ自由であったかが伺えます。今では、生徒が一人欠けるだけで大きな問題となり、場合によっては警察が動くことさえあります。
「とんずら」と「ばっくれる」の語源とその意味
「とんずら」と「ばっくれる」は、どちらも逃走や怠けるという意味で使われることが多いですが、これらの語源には興味深い背景があります。
まず、「とんずら」について見てみましょう。広辞苑によれば、
【とんずら】
(「とん」は「遁走(とんそう)」から、「ずら」は「ずらかる」から来ている)犯罪を犯して逃げる際に使われる俗語です。
ここでの「とんずら」は、「遁走」と「ずらかる」を組み合わせた表現で、具体的には犯罪後に逃げる行為を指すことが多いです。この言葉は昭和時代から使われ始めたとされています。
次に、「ばっくれる」についてですが、これも似た文脈で使用されることがあります。
【ばっくれる】 (「白ばっくれる」からの略)
- 素知らぬ顔をする、とぼける。
- 逃げる、怠ける。
「ばっくれる」は「白ばっくれる」の省略形で、元々は「知らないふりをする」という意味がありますが、逃げるや怠けるという意味でも使われるようになりました。「白ばっくれる」自体は、「白々しく化ける」、つまり明らかに嘘をついている様子を指す表現です。
これらの表現は以下のような文脈で使われることが一般的です。
- 「おい、ばっくれるな。お前がやったという証拠はあがっているんだぞ。」
- 「この野郎、ばっくれやがって。」
- 授業中に「つまんねえ授業だなあ」「もういいや、ずらかろうぜ」「とんずらしようぜ」「ばっくれようぜ」
- バイトを「ずらかる」「とんずらする」「ばっくれる」
これらの言葉は、特に盗人や不良などの間でよく用いられる表現です。
まとめ
これまでの調査から、「ずらかる」「とんずら」「ばっくれる」という表現について解明しました。これらの言葉は、何か悪事を働いた後に逃げ出すという共通の意味を持っています。
「ずらかる」については、具体的な方言としての根拠は見つかりませんでしたが、言葉の起源としては「頭を駆る」から来ている可能性があります。「とんずら」は「遁走」と「ずらかる」の合成語で、明確に犯罪を犯して逃げる状況を指します。一方、「ばっくれる」は元々「知らないふりをする」を意味し、後に逃げる意味も加わりました。
それでも、「ずら」の詳しい由来については依然として不明な点が多く、謎が残る部分です。これらの言葉は時代や状況に応じて変わる可能性があり、言葉の背景にはさらに探求が必要かもしれません。