「逆鱗に触れる」は、「げきりんにふれる」と読みます。
この表現の意味は、「皇帝の怒りに触れる」ことです。
具体的には、「上司や目上の人の機嫌を損ねてしまい、激しく怒られる」という状況を指します。
さて、この「逆鱗に触れる」はどのような状況で使うのが適切なのでしょうか?
以下に「逆鱗に触れる」の正しい使い方を例文と共に紹介します。
「逆鱗に触れる」の使い方:簡潔な例文で理解しよう
・厳格な社長が最も重視するコンプライアンス違反で、産地表示のミスが社長の逆鱗に触れた。
・些細なことから部長との口論に発展し、逆鱗に触れ結果として左遷された。
・簡潔さを求める取引先の社長に対し、余計な話を避け、逆鱗に触れないよう注意するよう警告された。
・キャプテンに対して無思慮に反抗し、逆鱗に触れてしまい、以来彼の機嫌が直らない。
・怠慢なプレーで負けたのは、当然監督の逆鱗に触れる行為だ。
・授業中に前の席で堂々と寝る行為が、先生の逆鱗に触れるのは避けられない。
・連続しての無断欠勤は、上司の逆鱗に触れること間違いなし。
・普段は温厚な課長も、無礼な態度を取られたら逆鱗に触れるのは当然だ。
・提案が却下されたことに腹を立てたムハンマド皇太子がOPECプラスの枠組み破棄を決定し、これがトランプ大統領の逆鱗に触れた。
・黒子猫の父親が近づくだけで母猫の逆鱗に触れてしまった。
・悪い行いが原因で教授の逆鱗に触れ、何度か大学からの出入り禁止を命じられた経験がある。
「逆鱗に触れる」の語源とその意味
「逆鱗に触れる」という表現の由来は、中国の古典「韓非子」にあります。この文献は法家の思想家である韓非によって書かれました。
この故事は、竜の性質に関するものです。竜は基本的に非常に穏やかで、人々がその背に乗ることさえ許されるほどの存在でした。しかし、竜には特異な特徴が一つありました。その喉元には、一枚だけ逆向きに生えた鱗があり、これを「逆鱗」と呼んでいました。
竜はこの逆鱗に触れられることを極めて嫌がり、もし触れられてしまうと、その穏やかな性格から一転して激しく怒り、手がつけられないほどに暴れるとされています。
この故事が転じて、「逆鱗に触れる」は、特に皇帝などの権力者の怒りを買うことを意味するようになりました。つまり、通常は穏やかであるが、特定の点で極度に怒りを示すことを比喩的に表す表現として使われるようになったのです。
まとめ:「逆鱗に触れる」とその類語について
この記事では、「逆鱗に触れる」という表現の使用例と意味について詳しく解説しました。「逆鱗に触れる」は、権力者や目上の人が激しく怒ることを引き起こす行動を指します。
また、「逆鱗に触れる」としばしば混同される「琴線に触れる」という表現についても触れましたが、これらは意味が全く異なります。「琴線に触れる」は、琴の弦に触れたときに生じる美しい音が人の心を動かすように、何かが人の心を深く打つことを意味します。具体的には、何かに感動することを表します。
このように、「逆鱗に触れる」は怒りを、一方「琴線に触れる」は感動を引き起こす状況を表すため、使用する文脈を明確にして使い分けることが重要です。